今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
5/5~5/11週のサマリー
- SECがロビンフッドに対してウェルズ通知(企業や個人に対し、SECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書)を送付
- ビットコインのトランザクションが10億件を突破
- 米下院がSEC規制の暗号資産保管ガイドラインを覆す決議案を可決
暗号資産市場概況
5/5~5/11週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-2.93%の9,497,750円、ETH/JPYの週足終値は同-4.80%の455,010円であった(※終値は5/11の当社現物EOD[5/12 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、先々週末の雇用統計によるリスクオンの流れと3月後半以来となる$3M超えのETFフローを背景として週初に65,000ドルに到達。先々週の5/3に史上初の資金流入超が観測されたグレイスケールのビットコイン現物ETFは5/6も続けて資金流入超を観測。週央7日からはジリ安の展開となり、注目のグレイスケールのビットコイン現物ETFのフローも流出超過に転じた。ETF全体のフローとしても小幅の流出超過で着地し、4月末のような大幅な流出超過ではないもののETFの出来高自体がしぼんでいるように見受けられる。
週末10日は米5月ミシガン大学消費者信頼感指数が予想よりも大幅に下振れしたことにより米株式市場がマイナスに反応し、ビットコインもつられるように$3,000の下落。節目の60,000ドル割れを試しに行く値動きを見せたが、割り込みは回避し60,000ドル台半ばで着地した。
さて、今週はイーサリアムの価格推移について注目したい。5月のイーサリアムのパフォーマンスはビットコインよりもアンダーパフォームしており、サポートラインの2,900ドルを試す展開となっている。その要因に挙げられるのがイーサリアム現物ETFの承認可能性の減退だろう。
イーサリアム現物ETFは5月に承認可否の最終期限を迎える申請が4件あり、VanEck社が申請した同ETFが5/23に最初の最終期限に到来する。年初にはイーサリアム現物ETFが承認されるのではないかというポジティブな意見もあったが、現在では米SECの直近の動向から承認される確率が低いと予想するアナリストが大半である。
その理由としては米SECがロビンフッド含む2社の暗号資産関連企業に対してウェルズ通知(企業や個人に対し、SECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書)を連発していることやイーサリアム財団への調査により、イーサリアムを「未登録の有価証券」として整理したい思惑が読み取れるからだ。
現在のイーサリアムの価格はイーサリアム現物ETFが非承認とされることを織り込みつつあるものの、完全には織り込んではいない可能性がある。同申請が非承認であった場合、市場参加者の心理悪化により年初の2,000ドル台前半まで下落するシナリオを想定することも必要かもしれない。
今週の経済指標は14日に米生産者物価指数(PPI)、15日に米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高といった重要指標の発表が予定されている。先週のひとこと「金利と暗号資産」で触れたように暗号資産市場はマクロ経済指標の影響を受けやすくなっており、指標に一喜一憂する市場環境であることを念頭に置いて取引されたい。
BTC/USD週間チャート(30分足)
BTC/JPY週間チャート(30分足)
ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
5/5~5/11週の主な出来事
5/12~5/18週の主な予定
【今週のひとこと】米国大統領選挙と暗号資産業界
4年に一度の米国大統領選挙まで半年を切り、同選挙結果の行方や、暗号資産業界への影響が注目を集めてきています。本選挙は2024年11月5日に実施される予定で、民主党は現職のバイデン大統領、共和党は返り咲きを目指すトランプ前大統領の指名獲得が有力視されており、2020年と同じ顔触れの対決が現実味を帯びています。
また、米国の大統領選挙において、暗号資産業界の規制方針が争点の一つになるとの意見を耳にするようになってきました。共和党の候補者と予想される米ドナルド・トランプ氏は先週に行われた選挙集会で、暗号資産業界を支持する異例の発言を行いました。トランプ氏は前回の大統領任期時(2016-2020年)の暗号資産業界に批判的であった態度を年々軟化させてきている印象です。近年には自身のNFTを発行するなど、暗号資産業界にフレンドリーな姿勢を見せています。ただし現時点では具体的な政策案等についての言及はなく、政治家として支持者獲得のためのリップサービスである可能性も否定はできないため、過度な期待は控えたほうが良いのかもしれません。
トランプ氏とは対照的に民主党の候補者と予想される現職のバイデン大統領は、暗号資産マイニング企業への課税強化や、既存銀行によるデジタル資産エコシステムへの参入に難色を示しており、暗号資産業界対して慎重な態度を見せています。
正式に党の候補者が決定する7・8月の両党の党大会以降は、暗号資産業界だけではなく、世界経済の行方を左右する米大統領選の動向に目が離せなくなりそうです。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。