ビットコインは半減期を通過し底堅い動き、レンジ相場形成(暗号資産 市場レポート 4/22号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

4/14~4/20週のサマリー

  • ビットコイン半減期到来
  • 中東情勢は事態のエスカレーションが燻り、緊迫した状態は継続
  • 香港当局、ビットコイン現物ETF・イーサリアム現物ETFを承認
  • パウエルFRB議長高金利政策の長期化について言及し、米国利下げ観測が後退

暗号資産市場概況

4/14~4/20週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+3.08%の10,019,000円、ETH/JPYの週足終値は同+7.11%の487,935円であった(※終値は4/20の当社現物EOD[4/21 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、中東情勢や米国の金利政策動向のヘッドラインに揺さぶられるも、ビットコインは半減期通過後底堅い動きをみせ、レンジ相場を形成する週となった。

前週末中東情勢の緊迫化により大幅な下落に見舞われたビットコインであったが、香港においてビットコイン現物ETF・イーサリアム現物ETFが承認されたとの報を受け66,000ドル付近までの上昇を見せる展開からのスタート。中東情勢緊迫化を背景に一時60,000ドルを割れの場面を見せるも、半減期を無事通過すると堅調に推移し65,000ドル付近で週末を迎えた。

マクロ的な外部要因に振り回されるビットコインであるが、ファンダメンタルについて悪材料は出ていない。価格は半減期を織り込み済みという声もあるが、半減期を通過し需給面での強さが出てくる今後の相場には十分に期待を持てるだろう。前回3度目の半減期の際の2020年のケースでは、半減期後の半年間はレンジ相場が続き、年末から暗号資産市場の上昇相場がスタートしている。

半減期後の需給面の詳細な分析については、当社作成の「【徹底解説】ビットコインの半減期とは?仮想通貨市場に与える影響・考えておきたい論点|」をご一読ください。

またビットコインの持つデジタルゴールドとしての側面も注目したい。中東情勢の下落から回復局面におけるビットコインのドミナンス(市場占有率)は過去3年間における数値で最も高い値を示し、当週においては主要株式指数よりも高いパフォーマンスを見せた。

大局的な視点で見ると、従来の機関投資家等が有事やインフレ等のヘッジ手段としてビットコインを選択する可能性は依然として拡大の余地があり、香港の暗号資産現物ETFの承認により投資家の関心もさらに高まっている。マクロ的な外部要因はあるものの、冷静な視点で暗号資産が持つファンダメンタルに目を向けた投資判断を行うことも大切であるだろう。

足元のマーケットに影響を与えうる直近の中東情勢のステータスを時系列で確認してみると、昨年10月にイスラム武装勢力「ハマス」がイスラエルを襲撃したことが発端となっている。「ハマス」の背後にはイランがいるため、イスラエルは反撃として4月1日にシリアのイラン大使館に対し空爆を行い、イランは4月14日に報復攻撃としてイスラエルに向け300機のドローンとミサイルによる攻撃を行った。

イスラエルの後ろ盾である米国のバイデン大統領は「イランに対するいかなる攻撃行動にも参加しない」と、イランへの攻撃を援助しない声明を発出。米国が今般の中東有事に参加表明を見せなかった為、19日のイスラエルの反撃は小規模なものに留まり、反撃を受けたイラン側は大きな事態として報道しない姿勢を見せている(4/21執筆時点)。

中東情勢は緊迫した状態が継続しているが、上述した両陣営の消極的な姿勢から一旦の終息を迎える可能性もある。突発的な軍事活動も考えられるため、今週も中東情勢のヘッドラインには細心の注意を払う必要があるだろう。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC半減期前1年間の騰落(日足,対数スケール)

(オレンジ:1回目の半減期までの1年間 / ピンク:2回目の半減期までの1年間 / 青:3回目の半減期までの1年間 / 緑:4回目の半減期までの1年間)glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC半減期後1年間の騰落(日足, 対数スケール)

(ピンク:1回目の半減期からの1年間 / 青:2回目の半減期からの1年間 / 緑:3回目の半減期からの1年間)glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

4/14~4/20週の主な出来事

4/21~4/27週の主な予定

【今週のひとこと】半減期ブロックのマイニング報酬

日本時間の2024年4月20日午前9時9分、ビットコインは4回目の半減期を迎え、ブロック報酬は6.25BTCから3.125BTCに半減されました。

半減期に伴い、半減期を迎えた最初のブロックのマイニング報酬額が‎40.751BTC(約260万ドル、約4億円)となり注目を集めました。

マイニング報酬は、ブロック報酬とトランザクション手数料で構成されています。今回のマイニング報酬が高額になった理由は、トランザクション手数料として支払われる報酬の合計が莫大な金額になったことが要因です。3,050件のトランザクションで、合計金額は約37.6256BTC、(約230万ドル・約3.5億円)にまでのぼりました。

約4年に1回生成される記念碑的なブロックにトランザクションを刻むため、多くの利用者が追加のプレミアムを支払ったことが理由にあげられます。1件当たり約8,000ドル(約123万円)相当のトランザクション手数料を支払った事例も確認されました。

次回の半減期は2028年頃に到来予定で、840,000番目に210,000ブロックが追加された1,050,000番目のブロックとなる予定です。その際のブロック報酬は現在の3.125BTCから半減された1.5625BTCとなります。次回の半減期の際は、マイニング報酬(ブロック報酬とトランザクション手数料)に注目してみるのも面白いのではないのでしょうか。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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