10/8~10/14週のサマリー
- 米CPIは市場予想対比やや強い結果となり、インフレ率の明確な鈍化には至らず
- イーサリアム財団、UNISWAP上で1,700ETH(274万ドル相当)をUSDCにスワップ
- 米SEC、グレースケールの現物ビットコインETFに関する判決に対して控訴せず
- 全銀ネットでシステム障害が発生し、一部で他行宛振り込みが実行できず
暗号資産市場概況
10/8~10/14週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲3.65%の4,024,400円、ETH/JPYの週足終値は同▲4.50%の233,340円であった(※終値は10/14の当社現物EOD[10/15 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、強い内容となった前週末の米雇用統計やイスラム武装組織ハマスによるイスラエルへの軍事攻撃など暗号資産売り(米利上げ、リスク資産売り)につながる材料が多かったものの、大きな下落はなく横ばい圏でのスタートとなった。
マクロ的な材料をこなしたかのように思えた暗号資産市場であったが、9日にUNISWAP上でイーサリアム財団による1,700ETH(274万ドル相当)のUSDCへの変換が確認されたほか、リップル社CFOの辞職といった材料を受けてアルトコイン主導で相場が下落、BTCもつれて27,000ドル台半ばまで値を下げた。
その後翌10日には中東有事による欧米金利の低下や米アトランタ連銀のボスティック総裁による追加利上げ不要発言などもあり、27,000ドルをサポートに下げ渋っていたBTCであったが、11日の米9月PPI(生産者物価指数)が市場予想対比で強い内容となると、同水準を割り込み26,000ドル台半ばまで値を下げる展開となった。
一方で、FOMC議事録において追加利上げに対する慎重姿勢が確認され、11月会合での利上げ見送り観測が90%に達したことや、キャシー・ウッド氏が率いるアーク・インベストメントの現物ビットコインETF申請が再提出されたことが好感され26,000ドル台後半まで値を戻す展開となる。
注目された12日の米9月CPI(消費者物価指数)であったが、やや強い内容も11月利上げ見送り観測を変更する程のものでは無く、暗号資産市場において相場を動意付ける手掛かりとなるまでには至らなかった。14日未明、米SECが米グレースケール・インベストメンツ社が管理する「GBTC」の現物ビットコインETF転換について再審査が命じられた判決に対してSECは控訴しない方針であると報じられると、BTCは一時27,000ドル台を回復し、その後はもみ合う形で安定的に推移し週末を迎えた。
今週は、米SECによるフィデリティ、ブラックロックを含む8件の現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の審査期限が控えている。引き続き米国の政策金利動向や中東情勢にも配慮しつつ、暗号資産市場独自のトピックにも注視していきたい。
BTC/USD週間チャート(30分足)
BTC/JPY週間チャート(30分足)
10/8~10/14週の主な予定
10/15~10/21週の主な出来事
今週のひとこと「全銀システム(全国銀行データ通信システム)」
全国銀行データ通信システム(通称:全銀システム)とは、国内ほぼ全ての預金取扱金融機関が参画する相互決済通信システムのことで、1973年に稼働を開始してから50年以上の長きに渡り、日本の金融取引の中核として重要な役割を果たしております。
今月10~11日に発生した同システムの障害により、広く存在が認知されることとなりましたが、顧客取引(他行宛て振込など)に影響が出るレベルの障害は稼働開始後初めてのことです。為替決済は1取引が滞ると他の取引に対しても波及し、深刻かつ広範な問題となる恐れがあります。
今回発生した障害は、全銀システムと各金融機関を中継するコンピューターの更新作業後の不具合が原因とのことですが、かねてより国内決済インフラの高度化に向けては数多の議論がなされています。
その一つとしてブロックチェーン技術の応用可能性についても期待が高まっています。
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