イーサリアム先物ETF米国で開始、SECのリップル社への中間控訴申請棄却、ハマスのイスラエル攻撃など市場への影響は?(暗号資産 週間マーケットレポート 10/10号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

10/1~10/7週のサマリー

  • イーサリアム先物ETFがシカゴ先物取引所に上場
  • リップル社に対するSECの中間控訴申請が棄却
  • イスラム組織ハマスが7日、イスラエルへの大規模攻撃を開始

暗号資産市場概況

    10/1~10/7週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+3.47%の4,176,850円、ETH/JPYの週足終値は同-2.40%の244,325円であった(※終値は10/7の当社現物EOD[10/8 6:59:59]レートMid値)。

    先週の暗号資産市場は、米国時間9月30日に米上下両院がつなぎ予算を可決し、政府機関の閉鎖がいったん回避されたことを受けて堅調な動きでスタート。日本時間2日朝には約7,000万ドルのショートポジションが清算された影響でビットコイン、イーサリアムともに急騰し、ビットコインは8月30日以来の28,000ドル超えとなった。

    米国時間2日にはイーサリアム先物ETFがシカゴ先物取引所にて取引開始となり、上場数時間での取引総額は約170万ドル規模とのことでまずまずのスタートとなった。殊にETF関連に関しては今後もビットコイン現物ETFの承認問題と絡めて、引き続き最新情報のキャッチアップは必要となろう。週央にはマーケットへの直接の影響はなかったが、昨年経営破綻したFTXの元CEOサム・バンクマン・フリード氏の裁判がニューヨークで開始されたこともトピックとしてあげたい。

    4日には米ニューヨーク連邦地裁のトーレス判事がSECのリップル社に対する訴訟での中間控訴の申請を棄却したことでXRPが一時急騰した。訴訟自体はまだ終結しておらず、解決すべき問題が残されていると指摘していることから、これからも新たな訴訟関連ニュースが出るたびに価格急変の可能性があることを留意しておきたい。注目の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り、強い雇用統計の結果を受けて米30年債が2007年以来の5%台に到達した。

    7日昼にはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが、突如イスラエルへの大規模攻撃を開始したことで一気に地政学的リスクが高まり、現在に至るまで投資家心理の重石となっている。日本では祝日を挟んだ3連休となっているが、執筆時点では、原油先物価格が大きく上昇しており。原油高により、米国のインフレ圧力が強まれば米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するという見方にも繋がるため注意が必要だ。

    今週は、12日の米消費者物価指数に注目したい。雇用統計が市場予想を上回った直後の重要指標発表となり、インフレ圧力の強さが示されれば、追加の利上げ観測が再び台頭してくるものと思われる。その他、中東情勢に関してはイスラエル銀行が最大300億ドルの自国通貨防衛策を発表したが、緊迫した状況の継続が想定されるため、為替・株式市場と併せて複合的なマーケット判断を行うように心掛けたい。

    BTC/USD週間チャート(30分足)

    TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

    BTC/JPY週間チャート(30分足)

    TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

    10/1~10/7週の主な予定

    10/8~10/14週の主な出来事

    今週のひとこと「IEO(Initial Exchange Offering)」

    IEOとは、Initial Exchange Offeringの略で、暗号資産取引所を介してトークンを発行・販売し、資金調達する方法です。

    従来のICO(Initial Coin Offering)では、発行元の企業が直接投資家に対してトークンを販売し、資金調達するため、詐欺や不正のリスク、資金が目的通りに使用されないなどの問題が発生しています。

    IEOは、ICOの課題を解決する新たな資金調達方法として注目されています。

    IEOの具体的な仕組みは以下の通りです。

    1. 暗号資産取引所がプロジェクトの審査を行う

    2.審査を通過したプロジェクトのトークンが取引所で先行販売される

    3.トークンが取引所で上場され取引可能になる

    このように、取引所の審査を通過したプロジェクトであるため信頼性も高いほか、取引所における上場が決定しているため、ICOと比較して資金持ち逃げといった詐欺や不正のリスクが低くなっています。また、先行販売で購入したトークンも取引所が販売を仲介するため売却が容易となっています。

    ただし、上場後のトークン価格暴落や、流動性の低さにより売却が難しいといった事例もあるため、IEO参加の際には、リスクを十分に理解した上で慎重な判断することが必要となります。

    現在、自主規制団体においては、上述したリスクを低減させIEOの健全化を図るために、プロジェクト関係者の原則最低3ヵ月のトークンロックアップといった規制の適用などが議論されています。

    このレポートについて

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    この記事の著者・インタビューイ

    SBI VCトレード

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