SECのバイナンスやコインベース提訴でビットコイン価格下落もやや回復、アルトコインは大幅下落(暗号資産 週間マーケットレポート 6/12号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

6/4~6/10週のサマリー

  • 米国証券取引委員会(SEC)が大手暗号資産取引所Binance, Coinbaseを提訴
  • 米投資アプリ大手RobinhoodがADA, SOL, MATICの上場廃止を発表
  • Binanceの顧客資産が同社 CEOチャンポン・ジャオ氏が経営する企業に送金されていたことが明らかに

暗号資産市場概況

6/4~6/10週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲4.68%の3,605,100円、ETH/JPYの週足終値は同▲7.71%の244,170円であった(※終値は6/10の当社現物EOD[6/11 6:59:59]レートMid値)。

当週の暗号資産市場は、前週の米債務上限問題が払拭されたことでBTCは27,000ドル前半からの底堅い推移でスタートした。しかし、5日未明に米国証券取引委員会(SEC)が未登録証券の無許可販売や、顧客資金の流用、米国での違法営業など13の罪でBinanceを提訴したとの一報によりBTCは26,000ドルを割り込み大きく下落。SECの訴状の中では、バイナンスコイン(BNB)やバイナンスUSD(BUSD)に加え、カルダノ(ADA)や、ポリゴン(MATIC)、ソラナ(SOL)等も証券とみなす記述があったことから、これらの銘柄を中心にアルトコインに売りが広がった。訴状に対しBinance及び同社CEOであるチャンポン・ジャオ氏は、SECが一方的に暗号資産を定義しようとしているのではないかと反論し、抗戦する構えを見せている。

翌6日にはSECがさらにCoinbaseを提訴。しかしBTCは2月高値の25,300ドル付近で下げ止まり、前日の下げ幅をすべて戻す形で27,000ドルを回復。Coinbaseの提訴に関しては3月にSECより「Wells Notice」(法的措置予告)が発出されており市場の反応は限定的であった。Binanceについても同月にCFTC(米商品先物取引委員会)より訴追されており、材料が出尽くしたと判断され買戻しの動きが見られたのだろう。またアルトコインの大幅下落やそれに伴う逃避フローによりビットコインの市場占有率(ドミナンス)も上昇し、SECから唯一コモディティとして見なされているBTCに資金が流入した格好となった。

週末には米RobinhoodがSECの訴状内容を考慮してADA、SOL、MATICの上場廃止を発表。発表を受けて当該3銘柄が大幅下落し、併せてアルトコイン全般に売りが広がったことで暗号資産は全面安となった。日曜日には一旦下げ止まりの動きを見せたが、暗号資産に強硬な姿勢を貫くゲンスラーSEC委員長と、SECに対し抗戦姿勢を見せるBinance, Coinbaseの今後の動向は注視する必要があるだろう。また、訴訟関連ではSEC とRipple社とのXRPの証券性を巡る裁判において、ヒンマン文書を含むSECの証拠資料の裁判所への提出期限が6月13日に控えていることにも留意しておきたい。

今週は重要経済指標である米CPI及びFOMCの発表が控えている。6月のFOMCは金利据え置きというコンセンサスではあるが、オーストラリア準備銀行とカナダ銀行が直近で相次ぐサプライズ利上げを実施したことを踏まえ、CPIやPPIといった指標の上振れによっては金融政策に影響を与える可能性もあるため、米国の経済動向をより一層見極めたうえでの投資判断を行うようにしたい。

1:BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2:BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

6/4~6/10週の主な出来事

6/11~6/17週の主な予定

今週のひとこと「貿易金融とブロックチェーン」

様々な分野で活用が模索されるブロックチェーン技術ですが、その中でも技術の特性を活かしやすい分野の一つが「貿易金融」です。

貿易金融とは、国際貿易取引(輸出入)において必要な資金の融通、信用供与(提供)などの金融業務のことを指し、国外との取引では商習慣や言語の違い、信用リスク、為替変動リスク、輸送リスクなど様々なリスクが存在します。現在は、銀行がそれらのリスクを軽減するためのサービス(「信用状」と呼ばれる支払保証や為替予約(将来両替する際の為替レートを予め予約すること)など)を提供することで、取引の円滑な進行が実現しています。

 ブロックチェーンを貿易取引に用いることで、スマートコントラクトにより契約手続きを短縮できるほか、資金決済を低コストかつ高速に(為替リスクの軽減)し、決済の進捗状況を透明化できるなど、国際貿易が抱えている多くの課題を改善することが期待されています。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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