ビットコイン一時26,000ドル割れも下げ止まる、今週は下抜けのシナリオにも配慮した投資判断を(暗号資産 週間マーケットレポート 5/15号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

5/7~5/13週のサマリー

  • ビットコインは先週のレンジを下抜け、一時26,000ドル割れも下げ止まる
  • 4月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回り、10カ月連続で鈍化
  • 一時高騰したビットコインの送金手数料は低下傾向、ネットワークの逼迫も改善
  • 米暗号資産取引所Bittrexが破産申請(チャプターイレブン)を申請

暗号資産市場概況

5/7~5/13週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲6.62%の3,647,600円、ETH/JPYの週足終値は同▲4.92%の244,410円であった(※終値は5/13の当社現物EOD[5/7 6:59:59]レートMid値)。

連休明けとなった今週の暗号資産市場は、先週から続く「PEPE」等のBRC-20トークンの取引急増からの送金手数料の高騰、それが飛び火したバイナンスの2度にわたる出金停止を受け、BTCは28,000ドル台を割り込む軟調な展開からのスタートとなった。週央のCPI発表を受け上昇に転じる局面はあるものの、米政府の押収したBTCに動きがあり、約400億円分売却フローが生じるとの誤報により反落。週末にかけて金融システム問題再燃による株式市場の下落に引きずられる形で下落し、先週の下限レンジを割り込み3月以来の25,000ドル台を付け、その後は下げ止まり26,000ドル台で推移する展開となった。

指標に関しては物価に関する重要指標である4月の米消費者物価指数(CPI)が発表された。市場予想を下回る結果を受け、金利は下げる形で反応した。BTCも一時上昇に転じる場面を見せるが、直後にダークウェブ「シルクロード」から押収されたビットコインのうち、11,819BTCが送金されたとの誤報を受け急落、その後も上値が重い展開となった。

金利見通しについては依然として6月の利上げ見送りは有力視され、FF 金利先物レートはFRB が年末にかけて利下げに転じる可能性を示している。しかしながら、インフレ鈍化を背景に FRB が年末にかけて利下げに転じるという期待と、銀行が融資態度を厳しくすることによる景気悪化懸念が入り交じる状況である。FRBのリセッションを回避しつつインフレを低下させるという使命実現への不透明感の払拭には未だ至っていない現状であるといえるだろう。来月のCPIの発表はFOMC前に発表される為、今後の金利動向を推し測る上で重要なポイントとなっており、より注意を払った対応が必要である。

暗号資産関連のトピックについては、暗号資産企業が米国から拠点を移す中で、SECの暗号資産業界への規制強化への国内批判が高まっている。米商工会議所によるCoinbaseのSEC提訴への支持を記した意見書の提出や、共和党・米下院金融サービス委員会のマクヘンリー委員長がSECへ規制の明確化を求める公聴会開催要望の書簡を送付する等、SECの規制強化への反発といった動向にも注目したい。

今週の暗号資産市場は3月後半以降のレンジ下限である25,000ドル台のサポートラインが意識された動きになることが予想される。相場の先行きの不透明感から反発の兆しが見えないことによるセンチメント悪化からの下抜けのシナリオにも配慮した投資判断を行いたい。

1:BTC/USD週間チャート(30分足)

2:BTC/JPY週間チャート(30分足)

5/7~5/13週の主な出来事

5/14~5/20週の主な予定

今週のひとこと「ライトニングネットワーク」

ビットコインのライトニングネットワークは、ビットコインの使いやすさを向上させるための技術です。ビットコインは、オンラインでの支払いや送金に便利な暗号資産ですが、大量の取引を処理するのに時間と手数料がかかるという課題がありました。

ライトニングネットワークは、ビットコインのスピードとコストの課題を解決するために世界中の各取引所で導入や検討が進められており、非ライトニングネットワークと比べ高速かつ低コストで取引を行うことができます。

ライトニングネットワークでは、暗号資産の主な取引はブロックチェーン上で行われるのではなく、仮想的なチャネルの中で行われます。参加者は、このチャネルを通じて直接取引を行うことができます。これにより、ブロックチェーンの負担を減らし、小額の支払いや頻繁な取引をスムーズに行うことができます。

現在活用されている現場としてはエルサルバドルが挙げられます。エルサルバドルではビットコインが法定通貨となっていますが、日常生活での買い物の支払いで利用するには高速かつ低コストでの決済か可能なライトニングネットワークの利用が不可欠です。

ライトニングネットワークの普及は、ビットコインの使いやすさと普及を促進する重要な要素です。将来的には、より多くの人々がビットコインを利用しやすくなり、より便利な暗号資産の利用が広がることが期待されます。

このレポートについて

国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けしまします。

→「SBI VCトレード」はこちら

<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。

この記事の著者・インタビューイ

SBI VCトレード

SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。