今年どうなる? 暗号資産/ブロックチェーンなどweb3領域
「あたらしい経済」年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を国内外で牽引するプレイヤー/有識者の方々に「2025年の展望」をご寄稿いただきました。88人の方々の40,000字を超えるメッセージには、これからのこの領域のビジネスのヒントやインサイトが溢れています。これからの「あたらしい経済」時代を切り開く、ご参考にしていただけますと幸いです。
ご寄稿いただいた皆さま
廣末紀之/加納裕三/國光宏尚/坂井豊貴/小田玄紀/大塚雄介/井坂友之/千野剛司/金光碧/近藤智彦/八角大輔/藤原崇亮/近藤龍徳/中村奎太/東晃慈/藤本真衣/渡辺創太/ビール依子/大日方祐介/松原亮/吉田世博/宮沢和正/正田英樹/近藤秀和/平田路依/大木悠/木村優/菊池マサカズ/窪田昌弘/RG/Ran Yi/小副川祐輔/佐藤伸介/花坂光平/原沢陽水/FUJITA TAKUYA/あとい/まじすけ/岡部典孝/鈴木雄大/柏木崇志/灯篭/仮想NISHI/加藤宏幸(ひろぴー)/日原翔/ →Page2 / 山田耕三/村田卓優/上野広伸/小澤孝太/石濵嵩博/原井義昭/島岡秀知/沼崎悠/高長徳/paji.eth/天羽健介/施井泰平/徳永大輔/miin/岡本伊津美/赤木翔濱田翔平/岡崇/辰巳喜宣/神脇啓志/松嶋真倫/中野泰輔/星野怜生/中村健/齊藤達哉/小林英至/志茂博/紫竹佑騎/圷健太/堀井紳吾/小野暢思・佐藤太思/岩崎翔太/平野淳也/Sg/小宮自由/斎藤岳/柳澤賢仁/沼澤健人/田中計士/長瀨威志/清水音輝/内田善彦/星暁雄(敬称略/順不同)
暗号資産/ブロックチェーン業界「2025年の展望」
廣末紀之/ビットバンク
グローバル目線では、その中心は米国であり、トランプ新政権が掲げる「ビットコイン大国」に向けた「SBR(ビットコインの戦略備蓄計画)」や、「FIT21(暗号資産の規制枠組みを明確にする包括的法案)」の実現可否、また、国内においては、昨年下期より始まった「暗号資産の再定義(根拠法を資金決済法→金融商品取引法に変更)」議論などが注目材料として挙げられる。これらの動向は業界に与えるインパクトが大きく、その状況次第でプレイヤーの顔ぶれを含め、グローバルレベルで業界地図が大きく変わる可能性があり、当社としても適切に対応できるよう準備をおこなっていきたい。
相場については、トランプ新政権の期待値を含め、昨年秋より始まったサマーシーズンの継続によりビットコインの最高値更新など相場の活況が期待される一方、トランプ新政権による米国インフレ再発懸念→金利の上昇により、相場の転換点が訪れる可能性に注意したい。
加納裕三/bitFlyer Holdings
2024年は暗号資産の社会的な位置付けが大きく変化した年でした。そして2025年はこの流れをさらに加速させ、確かなものにするための重要な年だと考えています。
ビットコインの現物ETFの上場を契機に伝統的な金融市場から暗号資産市場に資金が流入する動きが広がっています。暗号資産全体の時価総額は550兆円を突破し、中でもビットコインは300兆円を超え、社会の主要なアセットクラスの一つとして認識されつつあります。
ただ、日本では暗号資産取引にかかる税率が高いことで取引や保有をためらう人が少なくなく、税制が市場の成長を妨げる要因の一つになっています。暗号資産は生活を豊かに、より便利にする存在であると世界中の人々が気付きつつあり、この動きは日本でも広がっています。
新NISAや円安、インフレによって日本社会の投資に対する関心が高まっていますが、暗号資産はその関心の受け皿となり、投資の選択肢の一つとなりうる存在です。
暗号資産が国民の資産形成に資する存在であることを社会や政府に広くご理解いただくため、bitFlyer Holdings 代表取締役CEOとして、2025年もお客様にとって価値のあるサービスを提供し、業界をリードしてまいります。
また、暗号資産交換業者におけるセキュリティの重要性が高まっています。bitFlyer は創業以来、セキュリティを経営上の最優先課題として位置付け、今日まで一切のハッキング被害を受けることなく事業を続けてまいりました。本年もお客様に安心で安全な取引環境をご提供するため、セキュリティの強化に不断に取り組んでまいります。
さらに、日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事として、暗号資産取引を申告分離課税の対象とすることや、暗号資産デリバティブ取引におけるレバレッジ規制の緩和を実現するため、引き続き政府や関係省庁に働きかけてまいります。
國光宏尚/Mint Town・キャプテン翼 -RIVALS- on LINE]
Web3業界、2025年のメインテーマは「マスアダプション」
その鍵を握るのは「Social Dapps (ソシャダブ)」と「クリエーター ミームトークン」
2023年12月にTelegramのMini Appとしてリリースされた「Not Coin」は、短期間でユーザー数5000万人を突破。これを皮切りに数多くのMini Appがリリースされ、2024年には「Hamster Kombat」が3億人超のプレイヤーを記録、「Catizen」は$23Mの売上げ、数ヶ月で4プロジェクトがバイナンス上場を達成しました。
さらに、2025年1月にはLINEがDappsプラットフォームをリリース。私たちの「キャプテン翼 -RIVALS- on LINE」や「Social.meme」も採択され、日本から世界へ、Social Game (ソシャゲ)以来の大ムーブメントが巻き起こるのは確実です!!
ソシャゲは「Free to Play」で多くのユーザーを巻き込みました。Social Dapps(ソシャダプ)の鍵は「Free to Airdrop」!
ウォレット開設やNFT課金といった複雑な手続きが不要になり、ゲームをプレイするだけでエアドロが貰える。これがユーザー拡大の原動力となっています。
今年はメッセンジャーアプリ発のDappsが一層盛り上がり、市場はさらなる活況を迎えるでしょう。
ソシャダプ is Now !!
坂井豊貴/慶應義塾大学・ONGAESHI・Chainsight
数年前まで私はよく「ビットコイン上がったうぇーい、下がったうぇーい」みたいなツイートをして喜んでいたのですが、もうできなくなりました。昔はビットコインにろくな社会的位置が与えられていなかったから、そういうツイートが冗談になっていた。「自分は馬鹿みたいなアセットに全財産を張るアホです」のような見方が成立していた。もちろん昔からビットコインは偉大だったのだけど、一般社会からの見方として。でももう全然そうではない。ビットコイン上がったうぇーいって、自慢にしかならない。数年前から徐々にそうだったけど、馬鹿々々しい楽しい時代は確実に終わってしまった。
いわゆるWeb3もそうです。ミームも馬鹿々々しくて楽しいですけど、本命は馬鹿々々しくない実業だと私は考えます。つまり実業をWeb3の仕組みでドライブするプロジェクトが、次の時代を切り拓くはずです。私が関わるものだと、人材育成と採用のONGAESHI、クリプトのデータベースを提供するChainsightは、そのようなプロジェクトです。人類社会で位置を固めつつあるビットコインに続き、真に価値ある実業のWeb3プロジェクトが、これからの世を席巻していくと考えています。
小田玄紀/日本暗号資産等取引業協会・SBIホールディングス・ビットポイントジャパン
昨年までに暗号資産の社会的役割は大きく変化をしました。海外では現物ビットコイン/イーサリアムETFが取り扱われるようになり、1000億ドル(15兆円)を超える機関投資家資金が流入しています。アメリカで大統領に就任するトランプ氏がビットコインの戦略的備蓄を含めて暗号資産に対して極めてポジティブな政策を導入していく中で、暗号資産を含めたWeb3業界が果たすべき役割は大きく変わってきます。
日本でも暗号資産国内口座数が1100万口座を超えました。また、「暗号資産が国民経済に資する資産」とするための提言がされるなど、従来の資金決済手段としての役割から金融アセットクラスとしてその社会的役割が変わりつつあります。
このような状況において、個人所得税を含めた税制改正・暗号資産レバレッジ倍率の見直し・現物暗号資産ETFの国内導入など兼ねてから要望してきた内容が実現する土台が形成されつつあります。
しかし、変化があるということは良い面だけでなく、その変化に伴う課題も生じる可能性があるということをしっかりと認識する必要があります。
今後、法律体系を含めて大きな変化が起こる中で、その変化がWeb3業界だけにとって恩恵があることではなく、日本社会・日本経済にとってどれだけ意義があることなのか、Web3業界が日本そして世界にとってどのような貢献が出来るのか。この観点で変化に対応していく必要があります。
Web3業界は、日本が世界をリードできる可能性がある数少ない事業領域の一つだと思っていますし、また、金融面・経済面で極めて大きな恩恵を日本に対してもたらすことができる産業だと信じています。
2025年に適切な変化を実現することが、今後の業界そして社会にとって何よりも重要な意義を持ちます。
「あしたを、もっと、あたらしく。」の精神で、変化を楽しみながらチャレンジを続けていきます
大塚雄介/コインチェック
2025年は暗号資産、特にビットコインのポジション/役割/使われ方の変化が加速していくと見ています。
ビットコインが4回目の半減期を迎えた2024年、ビットコイン価格はドル建て円建てともにATHを更新しました。ビットコイン価格の動きもさることながら、ビットコインをはじめとした暗号資産の役割の変化が生まれ、2025年はこれが加速していくでしょう。トランプ次期大統領が就任後に2,000億ドルの米国財務省の資金を活用してビットコインの準備金を設立する意向を示していること、米SECの次期委員長が暗号資産推進派となり米国において暗号資産関連の規制の明確化が進むことが予想されるなど、米国での動きはグローバルな暗号資産業界に波及していくはずです。
ビットコインやイーサリアムのETF組成に関する議論が国内で進むことに期待していますし、また、世界各国で事業会社が暗号資産を為替ヘッジやインフレヘッジなど財務戦略的な目的で保有しはじめており、このような動きがどこまで広がるかにも注目しています。
井坂友之/コインチェック
25年度の与党税制改正大綱に前年に続いて暗号資産における課税のあり方の見直しを検討する旨の記載が盛り込まれたことをはじめ、2024年は各所で暗号資産ETFの解禁に向けた動きを観察できました。このような流れをクリプトが社会に浸透していく途上としてポジティブに捉えています。
クリプトの浸透を後押しする流れのなかで、2024年は国内で4件のIEOが実施され国内IEOの実績は累計8件となりました。IEOを実施した業種はゲーム、不動産業、Fintechとバリエーションが広がりました。2025年もさまざまな産業にクリプトが溶け込み実装されていくと見ています。
また、昨年末には当社親会社のCoincheck Group N.V.が米ナスダック市場に上場しました。米コインベース社に続く世界で2社目の暗号資産取引業の上場となり、資本市場においてクリプト産業の受容が前進したと言えるでしょう。当社についてはお客が安心してサービスをご利用いただける態勢を保ち続けるとともに、グローバル水準のセキュリティやサービスの強化に努めてまいります。
千野剛司/Binance Japan
2024年のテーマは、伝統金融との融合でした。アメリカでの現物ETFの承認を受け、ウォール街を中心に機関投資家の参入が大きく加速した一年でした。
2025年は非金融系の既存プラットフォームとの融合が主要なトレンドとなるでしょう。普段利用しているサービス、例えばメッセージアプリのLINEやTelegram、ライドシェアアプリ、ゲームプラットフォームなどがブロックチェーン技術を活用した「組み込み型金融」を提供するケースが広範囲で増加すると予想しています。
この動きにより、日本では多くの企業がブロックチェーンを商機と捉え、既存のプラットフォームを上手く活用した革新的なユースケースも生まれるでしょう。また、自治体を含む公共サービスとの親和性の高さにも注目しています。これにより、ユーザーがブロックチェーンサービスにアクセスする方法や体験する方法自体がより身近に変わり、Web3のマスアドプションに向けさらなる進展が期待できる年になると思います。
Binance Japanとしても、より多くの先進的かつ利便性の高いサービスを展開してまいりますのでどうぞご期待ください。
金光碧/bitFlyer Holdings
ヨーロッパでMiCAが施行され、米国でもBlockchain Associationがトランプ政権発足後100日以内に暗号資産に関する包括的な規制枠組みを策定するよう求めています。
2025年には、ついに「暗号資産」の規制の方向性がグローバルに見えてくることになるでしょう。
証券として扱われるのか、コモディティとして分類されるのか、発行体に対する開示規制が求められるのか、「分散性」がどの程度重要視されるのか、などのさまざまな論点に一度決着がつき、これまで「何でもあり」だったクリプトワールドの中で、今後「規制上の禁止事項」が明確になるでしょう。この意味で、業界から局所的な失望の声が上がる可能性があると思います。
日本の取引所のビジネスとしては、ステーブルコイン、ステーキング、BTCFiなどに注目しています。
個人的に興味を持っているDAOについては、Onchainとリアルワールドの接続やインセンティブ設計の観点で、広く普及するのは難しいのではないかと思っていましたが、AIがウォレットの形で形成するDAOという方向への進化はあり得ると考えています。
近藤智彦/SBI VCトレード
2024年は暗号資産にとって歴史的な1年となりましたが、2025年はいよいよ日本国内でステーブルコインの流通が開始するステーブルコイン元年となります。2023年11月にSBIグループはUSDCを発行する米Circle社との包括的業務提携を発表しましたが、まもなくSBI VCトレードで日本の皆様にお取引いただけるようになると思います。
暗号資産は投資対象として認知が大きく拡大しましたが、ステーブルコインは法定通貨と価値が連動するからこそよりユースケースに活用しやすく、USDC流通開始後に利用者様がどのような使われ方をされるのかサービス提供側の我々も期待しております。さらには既存金融との連携や既存金融の代替手段といった活用方法も考えており、様々な用途でご提供できればと考えております。
ステーブルコイン開始も含め、暗号資産交換業・第一種金商業・電子決済手段等取引業の3つのライセンスをフル活用した今年のSBI VCトレードのサービス展開にご期待下さい。
八角大輔/オーケーコイン・ジャパン
2025年を「Crypto資産運用元年」と位置付けています。
2024年は米国でのBTC、ETHの現物ETF上場承認を皮切りに、日本でも税制改正の議論、LPS法改正などが実施され、暗号資産口座数も1,100万を超えるなど、着実な規模拡大、また普及への礎が構築されました。
将来、暗号資産が株式などと同じ位置付けとなれば、さらなるプレーヤー流入が期待されます。その上で、「資産運用」の手段として暗号資産を活用できるサービス提供が肝要と捉えています。
また、弊社では強固なウォレットシステムを独自構築し、創業以来一度も流出事故は発生しておりませんが、昨年の流出事案を踏まえ、利用者へ「安全」を提供することも、登録業者として不変の使命です。
OKJのグローバル性を活かし、「資産運用」、「投資」というキーワードのもと、世界の優良サービスを日本の皆様に安全に提供していくことで、ユニークな存在となることを目指します。
藤原崇亮/CoinTrade
2024年は米国SECによるBTCのETF承認を皮切りに、BTCの4回目の半減期、11月の米国の大統領選とトピックスが多い1年となりました。
2025年も期待相場が続いており、満を持してのステーブルコインの流通、AIエージェントの隆盛、DeFiの発展が加速し、暗号資産、Web3にとっては飛躍の1年となる予感がしています。
一方であまたのサービスが展開していく中で、2025年はセキュリティ面の強化などが重要なファクターになると考えます。
CoinTradeでも暗号資産を使った資産運用サービスの先駆者として、既存サービスの強化、新たなサービスの開発、セキュリティの強化を行い、お客様に喜ばれる新たなサービスをどんどん追加していく予定です!
近藤龍徳/Fireblocks
昨年は、ビットコインETFやステイブルコイン決済を始めとして業界内における大きな進展が多数ございました。
暗号資産が、ETFや国家戦略備蓄として資産価値の上昇に伴って新たな資産クラスとして認知されつつあります。2025年は、新たな資産クラスとして取引活発化が見込まれると同時に、悪意のあるハッキング集団の経済的インセンティブも上がります。
ユナイテッドネイションセキュリティ評議会によると、2024年にハッキングを通じて盗まれた暗号資産総額は2000億円規模に及び北朝鮮関連のハッキングが61%を占めるとされています。オンチェーン上の暗号資産に対する内部統制ルール、サイバーセキュリティに対する対策は必須の項目であると考えられます。
中村奎太/メルコイン
2025年は米国の情勢の変化を中心とした世界のweb3業界がどう動くのか、注目の一年になると考えます。その中における日本の立ち位置が、規制面や各事業者のアクションにより変わってくると思います。ここまでweb3領域の中心は東南アジアや途上国でしたが、日本においても税制や金融規制をアップデートし、日本が誇るIPなど多くのコンテンツが世界に羽ばたく中で大きく立ち位置を変えていけるチャンスがくると確信しております。
また、昨年段階で国内の暗号資産口座数は1000万を超え、まだ伸び代はあるものの浸透の兆しが見えてきています。我々メルコインとしてもご利用者数が300万人を超え、より多くの方がこの領域へ興味を持つきっかけとなるようなプロダクト作りを行ってきました。イーサリアムの対応から始まり、つみたて機能や、ステーキングとポイント還元機能など徐々に機能を拡充してきました。
本年は我々のミッションである「多様な価値の循環」という点にさらに目を向け、様々にある暗号資産やデジタルアセット、デジタルコンテンツをより多くの方に流通させていくことによって、日本のweb3領域の勢いを加速させてまいります。
東晃慈/Diamond Hands・ビットコイナー反省会
去年、日本では一般的に信頼されている組織や人物の犯罪やスキャンダルが一気に報道され、今まで多くの人が前提としてきた社会における信頼が本格的に揺らぎ始めるのを意識する年になったと思います。
良くも悪くも今年もそういう流れは続くと思います。
一方、分散性や信頼の最小化、事実の検証の必要性のような「当たり前」の話は、一般社会だけではなく、クリプト業界の中でも蔑ろにされ続けているものでもあります。
今年の予測を書くに辺り2024年の色んな人の年始の予測を改めて見たところ、本気の予測というよりは、Web3が来るとか、IEOが来るとか、ゲームが来るとか、単純に自分のやっていることのポジトークや正当化ばかりで、その主張の成否を後で検証する人もほとんどいないですし、結局それがユーザーに損失を生み出したり、業界全体を不健全な方向に進めるだけの結果に終わったものも多いと感じました。
2025年はクリプト業界もよりアカウンタビリティーを持って、口だけではなく本当の分散化や、信頼の最小化を目指して欲しいなと個人的に思います。
そしてそれを最も愚直に追求しているのがビットコインで、だからこそ一時的なノイズとは無関係に今年も世界的に支持を広げ、最も重要なものになると予想します。
ちゃんとした予想ではないですが、今年は老害的な提言で代えさせていただきます。
藤本真衣/INTMAX
2025の注目すべきトレンドとして、クリプト決済、AIエージェント、そしてプライバシーが挙げられます。
特にクリプト決済は、南米やアフリカを中心に需要が高まり続けており、日本にいるとその盛り上がりが分かりにくいかもしれませんが、非常に活発な領域です。先日Visaが発表したデータによれば、Bitcoinやステーブルコインの取引量はVisaにほぼ匹敵し、PayPalを既に上回っています。この事実は、クリプト決済の成長を強く裏付けるものです。
また、最近ではVirtualの代表的なAIエージェントである「AIXBT」がBinanceに上場し、大きな話題を呼びました。今後、AIが生成するトランザクションが加わることで、クリプト決済の取引量はさらに拡大するでしょう。AIによる決済が人間を超える時代も、そう遠くはないと考えられます。
一方で、プライバシーの重要性もこれまで以上に注目されています。プライバシーは「怪しいもの」ではなく、「自身を守るための当然の権利」として捉えられるべきです。実際、残念ながらオンチェーンデータから個人が特定され、攻撃を受ける事例が増加しています。いまや、「資産をどう増やすか」ではなく、「資産をどう守り、リスクを回避するか」が問われます。プライバシーは、これからの社会で不可欠な防御手段としてさらに重視されていくでしょう。
渡辺創太/スターテイル・グループ
起業家の仕事は未来を予測するのではなく、未来を創ることだと思います。なので「25年の意気込み」を書こうと思います。
Web3はすでに金融の分野で成功を収めておりだいたい2億ほどの月間アクティブアドレスがあります。今のインターネットのように世の中の人たちが当たり前に使うようになるためには金融だけでは不十分です。さまざまな業界のユースケースが金融レイヤーの上に作られていく必要があります。次の大台はエンタメになります。
Web3におけるエンタメレイヤーを創るべくSoneiumやAstarを作ります。また、そのためにはUXを極端に抽象化してもはやユーザーがWeb3技術を使っていることがわからないレベルまで落とし込んでいく必要があります。
なのでスターテイルとしてブロックチェーンレイヤーだけではなく、開発者ツール(Startale Cloud Services)やエンタメユースケースであるYoakeに力を入れます。
ビール依子/PolygoPolygon Labs
2024年、Polygonは技術革新に注力し、幅広い分野で成長しました。大統領選挙で注目を浴びたPolymarketをはじめ、ゲームやDeFiを支えるPolygon PoSチェーン、ゼロ知識証明を活用したPolygon zkEVM、独自チェーン構築を可能にするPolygon CDK、そして相互運用性を高めるAgglayerや及びプライバシー重視のPolygon Midenなど、多岐にわたる技術がエコシステムのさらなる拡大の下地を作った一年でした。
2025年はこれらの基盤を活用し、外部の企業やビルダーの方々との新しいユースケース創造に挑む一年になります。ゲーム分野に加え、ステーブルコインやAIなどに注目している他、Web3ネイティブなスタートアップとのコラボレーションを通じ、わくわくできる次のイノベーションを起こせるかどうかが今後のWeb3の行方を決める一年になると考えています。
大日方祐介/Web3 Foundation・Pala Labs
2025年はこれまで以上に世界が大きく動く年となり、本来のWeb3の原則の一つである「レジリエンス」が問われることになると思います。天変地異や戦争、権力者の気まぐれ、そして北朝鮮のハッカー集団の狙いにすら動じない、究極の第三者的なプロトコルが必要とされます。ビジネスとしてのWeb3の観点からはこれまであまり重要視されてこなかったWeb3の本質に、ようやくスポットライトが当たるでしょうか。
また、国家予算に影響を与える経済規模を持つプロトコルも登場するでしょう。伝統的な国家と、デジタル国家的なプロトコルあるいはDAO、その両者の境界線はより曖昧になっていくと思います。
ちょうど一年前、この寄稿文を書いていたとき、僕はウクライナで1週間ほどの滞在を終えたばかりで、ポーランド国境近くの街にいました。毎日、数回にわたってロシアからミサイルが発射されるたびにサイレンが鳴り響き、街中のビルは空爆で半壊したまま。それでも日常生活を送る人々がいる。そんな歪んだ現代世界の一端を垣間見て、テクノロジーがどんな意義を持つのか考えた一年でした。
いつどこに非常事態が起こってもおかしくない時代だからこそ、個人をコントロールするのではなく、個人が自由を確保するツールとしてのテクノロジーを支持し、引き続き貢献していきます。
松原亮/Oasys
2025年のテーマはToken Centric Project、AI、Frontier Worldです。
昨年のETF承認後と同様に、新大統領の就任以降、ビットコインには機関投資家を中心とした資金流入が続くと予想されます。昨年の資金は、主にミームコインを中心としたエコシステムに流れ込みましたが、これは「トークン」と「コミュニティ」がWeb3の中心であることを示した1年でもありました。
2025年前半には、トークンとコミュニティを中心に据えたAIエージェント関連のプロジェクトが話題の中心になると予想されます。
後半には、Telegramのミニアプリがインドやアフリカなどの新興市場ユーザーを取り込み、この流れを活かしたプロダクトが登場すると考えています。これらのプロダクトは、エアドロップや上場後にユーザー離脱という課題に挑むものでしょう。
個人的には、インドのオンラインゲーム市場の半分以上を占めるReal Money Game分野に注目しています。この分野の可能性には大きな期待を寄せています。
吉田世博/HashPort
最も注目するテーマは「ステーブルコインとweb3ウォレット」です。
昨年の本企画での「既存金融システムへの暗号資産のアグリゲーション」に関する予測はほぼ全て当たっておりましたが、唯一予想を外してしまったのが「日本におけるステーブルコイン規制の整備」です。
2024年中に日本国内でのステーブルコインの流通は叶いませんでしたが、2025年に日本はいよいよ「ステーブルコイン元年」を迎えると思います。
ステーブルコインは、銀行システムの整備された日本において、カストディアルウォレットで管理された取引所内での決済ではその真価を発揮出来ないと考えております。ノンカストディアルなweb3ウォレットを経由されることで、初めてスマートコントラクトによるプログラムビリティやコンポーザビリティといったステーブルコインの真価が発揮されます。
その意味で、web3ウォレットステーブルコインの最も重要なディストリビューションチャネルであり、DeFiやGameFiへのアクセスの最重要ゲートウェイになります。
web3ウォレットの領域には、2023年から2024年に既に複数の通信キャリアやECプラットフォーム等のメガプラットフォーマーが参入しており、2025年はステーブルコインというキラーユースケースによって領域全体が大きく成長して、プレイヤー間の優劣が決する年になると思います。そして、それらの動きは現在進行中の暗号資産法制の見直しや暗号資産仲介業(仮称)にも大きく影響を与えると考えております。
HashPortにとっては、2025年は自社開発するweb3ウォレットである「EXPO2025デジタルウォレット」が、4月から始まる大阪・関西万博で広く利用される年になります。2,800万人以上と予想される来場者の方にweb3ウォレットの面白さを体験いただき、web3の社会実装を大きく進めて参ります。
宮沢和正/ソラミツ
2025年のWeb3/ブロックチェーン関連の五大予言
・トランプ効果によりBTCがさらに高騰、15万ドル達成か?
・世界中でブロックチェーンベースのCBDCプロジェクトが続々と登場 ・ブロックチェーンを活用したクロスボーダー決済の実証実験が開始
・日本発のステーブルコイン(預金型・特定信託受益権型)がさらに増加
・大手金融機関を巻き込んだ、DID(分散型ID) の検討が進展
当社ソラミツは、昨年2024年の成果として、
1) 当社が開発に貢献しているパーミッションド・ブロックチェーン Hyperledger IrohaのVersion 2.0がリリース
2)Hyperledger Irohaを活用した、カンボジア中銀の「バコン」システムのユーザー数が1,000万人(国民の2/3)を超え、取扱高はカンボジアGDPの75%に
3)カンボジアの「バコン」は、タイ、マレーシア、ベトナム、ラオス、中国とクロスボーダー決済を開始
4) パラオで、ブロックチェーンベースの貯蓄国債プロトタイプが完成、実稼働に向けて準備中
5) パプア・ニューギニアにてCBDCの実証実験システムが完成、2025年1月より実証実験開始、Hyperledger Irohaの導入事例は7カ国に拡大
6) 当社が開発に貢献している DEX(分散型交換所)PolkaSwapがStaking対応、NFT対応など大幅に機能拡充
7)Fareless Wallet、Polkadot対応の500種類以上の暗号資産を取り扱うMetaMask上位互換のDEX対応Walletを機能拡充
8)英国Orillon社とソラミツでJVを設立し、携帯事業者向けの不正情報データベース連携システムを稼働開始
2025年は、更なる飛躍と業容拡大を予定しており、上記の五大予言を自ら達成していきたいと思います。
正田英樹/chaintope
本年はまず米国大統領がトランプ氏に交代して仮想通貨大国を目指すという方針を掲げたことが大きな変化のスタートとなるでしょう。既に昨年のトランプ大統領就任が決まった時からビットコインをはじめとした仮想通貨の価値が上がり続けており、今後も更に上がり続けるでしょう。このままだと、米国に仮想通貨およびブロックチェーン企業が集まり続けるということになります。
日本では仮想通貨ETFの解禁と期末評価課税の見直しへの加速が求められます。
本年は仮想通貨周辺の法整備だけでなく、ブロックチェーンを活用することで関係してくる広い領域での法整備の検討が進んできます。特に欧州規制とも連動するサーキュラーエコノミーの領域やデジタル遺言の証明、著作権管理は注視しています。
現状としては仮想通貨が資産として扱われることで価値の増大となっていますが、本質的にはブロックチェーンの社会実装の領域が増え、新たなビジネスモデルや社会モデルが創出されることが全体価値の向上につながることを期待しており、我々も加速に向けて精進して行きます。
近藤秀和/ G.U.Group・Japan Open Chain
新年明けましておめでとうございます。
昨年は暗号資産市場が後半から回復基調に入り、弊社の長年の取り組みである Japan Open Chain 上のネイティブトークン「JOCトークン」を世界中で無事に上場させることができました。これもひとえに皆様のご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。
2025年は、日本においていよいよステーブルコイン発行が本格化する「ステーブルコイン元年」となることが予想されます。これを契機に、国内外でのweb3のマスアダプション(大規模普及)が一層進む年になると確信しております。また、NFTも再び注目を集める一方で、実物資産(RWA: Real World Assets)のトークン化も本格化し、web3業界全体がさらに活気づく年になるでしょう。
2025年が皆様にとって素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
仮想戦士ロイ/Ava Labs
2024年はブラックロックのBUIDLなど既存金融発のサービスがパブリック且つマルチチェーンで展開していく大きな転換点になりました。
2025年は本格的にステーブルコインをはじめとした金融領域や実ユースケースが伸びていくと予想していますが、その為には最適なプライバシーソリューションが必要不可欠です。ブロックチェーンのプライバシーソリューションはAIプライバシー問題も解決する大事なパズルピースの一つでもあり今後のAI x Blockchainという文脈でも核となる部分です。2025年はプライバシー問題を柔軟かつ低コストで解決出来るインフラに期待したいです。
そういう意味では2025年はブロックチェーンインフラの普及が本格的な元年になる予想で、2026年がブロックチェーンアプリケーションの普及の元年になるでしょう。
大木悠/Solana Superteam Japan Lead
2025年には、単にブロックチェーンでプロダクトを作る段階から、PMF(プロダクト市場適合性)を重視するフェーズへと移行することが予想されます。日本では、地方自治体や企業にWeb3の導入を促すと同時に、最先端のトレンドを牽引するスタートアップを育成する取り組みが不可欠です。
ソラナは「取引スピードの速さ」「低コストの手数料」「強固なコミュニティ」という3つの特徴を持っています。特に、グローバルに広がる強力なコミュニティによる全面的なサポートがあり、プロダクト開発後もユーザーのフィードバックを反映し、継続的に改善を重ねられる環境が整っています。
さらに、ミームコインブームが示すように、ユーザーの声を直接体現するプロダクトが市場で注目されています。過激な表現への規制やブランド管理の重要性を認識しつつも、市場の声を尊重する文化を理解することが必要です。単なるプロダクト開発に留まらず、PMFを見据えた取り組みこそが、成功へのカギとなるでしょう。
木村優/Sunrise
2024年で最も盛り上がったのはHyperLiquidだったと思いますが、カストディ型のCEXであれノンカストディ型のDEXであれ、「資産の取引」こそが最もブロックチェーンでニーズが大きくプロダクトマーケットフィットしている機能であることを如実に示していると思います。ミームコインの盛り上がりも、究極的には取引そのものにニーズがあるからです。
しかしながら引き続きCEXにおける大型の顧客資産流出事件が起こるなど、カストディ型の取引所のセキュリティなどにおいて取引所のビジネスモデルの課題は引き続き存在しています。一方でノンカストディアル型の取引所はユーザー体験や顧客サポートに難があるなどの課題が残っています。HyperLiquidもセキュリティ体制が万全であるかどうかには議論の余地があります。
HyperLiquidは汎用チェーン上のスマートコントラクトではなく、アプリ専用チェーンの形態を採っており、モジュラーブロックチェーン技術のようなアプリ専用チェーンを支える技術は2024年でかなり発達してきました。
2025年はそのような技術を用いて、ユーザー体験を改善しながらDEXの技術を広めていく所に焦点が当たるのではないかと考えています。ただしDEXが広まると断定しているわけではなくて、CEXにDEXの要素が取り入れられるといった進化の方向性も大いに可能性があります。
我々もモジュラーブロックチェーン技術を用いてこの領域に一石を投じようと考えています。
菊池マサカズ/Secured Finance
2024年はビットコインETFの承認をきっかけに、ビットコインをはじめとする暗号資産が投資に値する資産クラスとして一段と認知を高めた一年でした。機関投資家が証券としてのETFを通じビットコインにアクセスできるようになり、MicroStrategy社による株・債券による調達を通じたビットコイン購入戦略も話題となりました。これは既存金融の「証券化」というソリューションの力によって、リスク選好に応じた多様なアクセスが可能になった好例だと感じます。
2025年は米国を中心に、暗号資産に関するポリシーがさらに前向きに変化し、ステーブルコインとRWAの「トークン化」が大きなテーマになるでしょう。オンチェーン上で法定通貨や債券・株式・現物資産が扱えるようになり、デジタル化とAI化が進み、誰もが高度な金融サービスに簡単にアクセスできるようになるでしょう。日本においては、web3PTの強力な遂行力を引き継いで組成されたweb3ワーキンググループによる税制や規制面での取り組みに期待しています。
Secured Financeは、DeFiのリーダーとして、オンチェーンに流れ込む資産を安全に取り扱うプロトコルを開発し、本物の金融ソリューションに触れる感動を提供できるよう、固定金利市場やステーブルコインを軸に、分散型金融のインフラをさらに進化させ、暗号資産がますます身近になる未来を皆さんとともに実現してまいります。
窪田昌弘/LOCKON
AIエージェントによるスマートコントラクトの高いUXの提供機会。
botやメンションで呼ぶだけで契約を履行するAIエージェントの台頭により、本来スマートコントラクトの価値であるエクスローを必要としないプラグマブルな契約の恩恵を誰でも受ける事が出来る。
活用される例としては、Swap, off-ramp, prediction などがあり、特にSwapやon/off-rampにおいては、DAOでは実現が難しかった責任の分散化というリーガル要件をクリアしつつ取引を完結できる可能性を秘めている。
RG/Orca
創業者のYutaroが多忙のため、代わりに述べさせていただきます。
2024 年はSolana躍進の年でした。
2025 年はAIトークンが早速話題になっていますが、今年はトークンを絡めたConsumer dAppsとその流動性を支える堅牢なDeFi Primitiveがより大きな存在感を示すと予想します。その中で、OrcaのようなDEXを絡めたAI Agentの応用と普及が今年は見込まれます。
WormholeのNTTやCCTP、Layerzeroなどのインフラが整い、クロスチェーンブリッジもよりシンプルなユーザー体験が実現化されていることから、単純なチェーンのナレティブではなく、dAppsの本質的な利便性や価値が評価される年になるのではないのでしょうか。
ギャンブル的な要素はしばらく残りつつも、海外の機関投資家も参入準備をしているので、今後さらにオンチェーンの流動性が高まり、DeFiの重要性が上がると考えます。
チェーンに関してはSolanaが引き続き存在感を保ちます。
Increase Bandwidth, Reduce Latency.
Ran Yi/Orderly Network
2025年のDeFi市場では、5つの主要なトレンドが予想されます。
①オムニチェーンDeFiが標準になる
オムニチェーンDeFiが標準となり、複数チェーンからの流動性調達により、価格設定の改善と流動性の深化が実現します。これにより、流動性の断片化問題が解決され、より効率的な取引環境が整います。
②機関投資家によるDeFi採用の加速
機関投資家のDeFi採用が加速します。改善されたオンチェーンツールにより、機関投資家は自信を持ってDeFiプロトコルに参加できるようになり、特にRWA市場での資本流入が期待されます。
③DeFiデリバティブの台頭
DeFiデリバティブ市場も拡大し、新たなブロックチェーンエコシステムへの展開や、より幅広い資産のサポートが見込まれます。
④UI/UXとアクセシビリティへの注力の増加
ユーザーエクスペリエンスとアクセシビリティの向上に注力が集まり、直感的なインターフェースと教育リソースの充実により、DeFiの普及が促進されます。
⑤AI駆動のDeFiソリューション
AI駆動のDeFiソリューションが台頭し、自動取引ボットやリスク評価ツールなどが普及。特にAIエージェントの成長が著しく、トレーダーの戦略最適化やリスク管理に貢献すると予想されます。
小副川祐輔/Napier Labs
DeFiプロトコルは、さまざまな経済主体をつなぐコーディネーションフレームワークとして、一切妥協しないDeFiへとようやく進化を始めています。2025年はその進化が本格化する一年になると確信しています。
これまでの進化を振り返ると、ERC20は価値の移転とその受け手をつなぎ、ERC4626は価値や機会を創出し、それを必要とする需要とマッチングします。さらに、クレジット・レイヤー(Euler/Morpho)は余剰資本を効率よく配分し、一般化された市場(Uniswap v4)は買い手と売り手をつなげます。そして、ユニバーサルなPoS(EigenLayer/Symbiotic)は必要とされるセキュリティを分配する役割を果たしました。
これらのすべてはDeFiがみつけた、DeFiとしての重要な必要条件を妥協しない答えになりつつあります。そして、これらのDeFiを構成するレイヤーは経済的なコーディネーションを支え、イーサリアムを「Infinite Garden」にしています。
その中で、私たちのNapier v2は、最適化された利回りの提供者とそれを必要とする人を結びつける新しいレイヤーを導入します。2025年は、この重要な要素をさらに開発・普及させていく一年となります。全力で取り組んでいきます。
佐藤伸介/Slash Vision Labs
2025年は、Coinbaseが開発する「Based Agent」のようなAIエージェントとWeb3技術が融合し、ウォレットを完全に自律的に管理運用する仕組みがワークし始める年になると思います。
例えばAIエージェントは、独自の企画で資金を集め、運用し、その収益をさらに適切な分野やプロジェクトに自動で投資するようになる。
AIエージェントがもの珍しく無い世界となり日常生活に自然に溶け込む形で存在するスタートラインの年になる気がします。
こうした変化は、社会全体の資本の流れにも大きな影響を与えるはずですし、AIが自律的に動く仕組みが広がることで、従来の金融システムや投資の仕組みそのものが大きく変わると考えています。
これからの数年で、こうした技術がどのように進化し、私たちの生活や社会にどんな影響を与えるのか。変革の瞬間に立ち会える今という時代に、強い期待を感じています。
花坂光平/Hana Network
2025年は、No more CEXの動きがさらに強まっていきます。
CEX以外に暗号資産の入り口を作るアプリがより影響力を増していくでしょう。例えば、Apple Payによるオンランプ機能を内蔵するアプリが増えたり、HyperliquidのようにCEXと同じようなUXのトレードが出来たりして、顧客接点を獲得するプロダクトは続出してきます。
個人的には、グローバルサウスのような新興国において、新しい暗号資産の入り口を提供するプロダクトに注目しています。
原沢陽水/Mycel
全体的には暗号資産領域への人と資金の流入が大きくなる年になると考えています。
DeFiの領域では、一部でAMM(Automated Market Maker)中心のDEXからオーダーブック中心のDeFiへの転換が起こると考えています。
また全体的に、オンチェーンだけの技術から、オフチェーンでプライバシーを保ちながらデータを処理する技術(MPC, TEE, Zkなど)を使ったユースケースが注目されると思います。
FUJITA TAKUYA/mycel
2024年にはBaseやUnichainなどのL2チェーンやHyperLiquidといった独自チェーンが注目され、2025年以降もハイスループットで取引可能な新規チェーンやそれらトークンの需要は高まり続けると予想されます(人間が滅びない限り新台が出てきます)。
このチェーン乱立の環境において、intentによる安全なチェーン間アセット移動や、チェーンの存在を意識させないシームレスなUI/UXがより求められていきます。
また、zkTLSのようなゼロ知識証明とTLSを組み合わせた技術の出現により、ユーザーの秘匿性が向上するだけでなく、オンチェーンで改ざんのないデータ検証が可能となり、オラクルの在り方が大きく変わると考えられます。さらに、AI生成のデータの信頼性を証明する仕組みが実現すれば、チェーン間のデータ連携がより柔軟かつ自動化され、従来のシステムを超える利便性が生まれ、チェーン間のみならず、Web2とWeb3の融合までもが進むでしょう。
あとい/無職
今期、いよいよブルマーケットが再発しましたが、今回はこれまでのサイクルとは異なる特徴を持つ展開が見られると考えています。特に注目すべきは、ミームコイン市場において、VCが関与していない小規模チームが主導となり、最先端技術を活用した革新を進めている点です。具体的には、MEV技術を活用したスナイパーボットや、テレグラムウォレットにおけるシードフレーズの分散管理の進化といった草の根的なイノベーションが、市場を新たな方向に牽引していくと見ています。
また、AIとWeb3の融合も今後の重要なトレンドとして注目しています。AI同士の取引に暗号通貨が利用されるケースや、AIが生成する通貨が普及する未来が現実味を帯びてきています。これらの動きによって、ミームコイン発のプロジェクトが単なるジョークを超え、実用性と革新性を兼ね備えた新たな市場の中心となる可能性が期待されています。
まじすけ/BONSAI NFT CLUB
2024年も海外事業者によるトークンエアドロップが盛んに行われ、2022年~2023年ではあまり見られなかった日本プロジェクトの「トークン」のリリースが目につきました。
様々な新しい事例と結果が見られ、2025年は他にも多くの日本事業者がトークンを絡めた事業展開をしていくことだと思います。
一方、2022年~2023年のNFTブーム同様、多くのプロジェクトは1年以上の継続が困難かと思われます。既存のプロジェクトによるノウハウの共有により、長期的なプロジェクトの成長や「エコシステムアップデートの型」が広まり、投資家が応援したプロジェクトが継続的に伸びていく流れができることを願っています。
また、すでにエコシステムが回っているプロジェクトの”上に”新しいエコシステムを作る(または相互性がある)ような連携が今より生まれることで、安定した運営や成長ができるプロジェクトにも期待しています。
岡部典孝/JPYC
2023年に改正された資金決済法の施行に伴い、今年は日本円ステーブルコインの発行と国内取引所でのUSDC取引開始を契機に、デジタル通貨時代が加速します。AIとの連携により年間取引金額は1京円を超えると予測され、ステーブルコインはグローバルな資金循環を支える柱となるでしょう。
一方、立て続けに起こった不祥事による金融機関への信頼低下を背景に、「自分の財産は自分で守る」という意識が広がり、新たな非中央集権型の流動性供給者が市場に参入する兆しも見られます。これにより、分散型金融の活性化が進むでしょう。
規制面では、電子決済手段仲介業の創設や、ステーブルコインによる給与支払いの実現が注目される中、私たちは安全で効率的で利便性の高い決済を作り、この変革を支えていきます。
2025年は、ステーブルコインが金融と技術の融合を牽引し、新たな社会インフラを築く元年となります。未来を一緒に作っていきましょう。
鈴木雄大/Fracton Ventures
皆様、あけましておめでとうございます。
私の今年の業界予測です。今年は「マスアダプションを予見するアプリケーションの到来」を挙げたいと思います。
背景には、ここ数年取り組まれてきたAccount AbstractionやIntent領域での技術革新と標準化の進展があり、マルチチェーンやUXの改善を可能にする技術が容易にアプリケーションへ組み込めるようになってきたことが挙げられます。若干ディストピア的な予測と感じるかもしれませんが、AIエージェント経由で膨大な取引量を持つアプリケーションが登場し、TVLが急上昇するなどのシナリオが予測されます。
そのうえで、アプリケーションの時代が到来するとチェーンの種類はあまり問われず、人気のチェーンやカルチャーに合うチェーンでデプロイが行われ、その裏でクロスチェーンの流動性を提供するProtocolが手数料を大量に獲得するといった展開が考えられるのではないでしょうか。
課題としては、多くの場合Layer1/2の方が高いFDVをつける傾向があり、アプリケーションが過小評価される点が挙げられます。ただし、上記のシナリオにおいて、もし高いアクティブ率や取引高、Tx数などを維持できるようになれば、市場も評価軸を変更する可能性があります。SocialFi系を含め、非常に興味深い価値評価がされるかもしれません。
柏木崇志/Kudasai
2025年は、ブロックチェーンのユーティリティ拡充に注目しています。
大阪・関西万博ではブロックチェーンウォレットが導入され、これを基にチケット管理やキャッシュレス決済が行われますが、昨年末までに9万件以上がダウンロードされていて大規模な実例が生まれています。
弊社例としては自社が運営するカフェのイベント期間中に試験的にステーブル支払いを導入しました。既存POSシステムとの連携の不十分さや、オンチェーン処理のタイムラグなどを実感する部分もありましたが、来店していただいたユーザーの感触は良く、暗号資産がより生活に近いレベルで使用できることが好評であったように感じています。
パブリックチェーンの場合、会計情報が公になるため、明確な規制によりセキュリティ・プライバシーの強化が必要であり、それによってサービスの適法性と透明性が保たれ、利用者・事業者双方が安心して参加できる環境が整うと考えられます。
こうした背景から、今年は実用的なプロダクトの発展やKYC/AML、デジタルIDの導入が進展し、これまで“怪しい”と敬遠されがちだったものが本格的な普及段階に入ると期待しています。弊社としても試験導入やユーザーリテラシー向上の知見を活かし、この領域にも微力ながら貢献していきたいと考えています。
灯篭/Crypto Hiroba
・AI×ブロックチェーンという新カテゴリーがついに大舞台に。分散型AIを打ち出すものと、AIからの出力データを使ってブロックチェーン上で新たなプロトコルを打ち出すためのプラットフォームが出てきて良くも悪くも猛威を振るう。
・オフチェーンの事象がオラクルで判断されるようになることで新型のDeFiが生まれる。リスクヘッジでの買いも入り投資家間でもトレンドに。データベースとしてブロックチェーンは容量が小さいことが懸念され、IPFSを利用するも今度は出力データの検証が分散的かについて懸念される。
・RWA分野はイマイチ振るわないが、日本を中心に多くのプロジェクトが現れては消えていく。
・Q1で異常なまでのエアドロップ/TGE発生。
・海外のプロジェクトで成功するBCGが1つ出て短期的に日本でもBCGが急増するがSNS上で見かける頻度ほど成功せず撤退が相次ぐ。
・大きな資本流入によりオプション取引量が大きく向上。デリバティブ取引量上位にオプションに強い取引所が並ぶ。
・暗号資産を使ったカード決済が流行。一部では脱税に用いられることもあり静かに問題に。
・インフルエンサー市場がATH。最大手以外のVCの撤退とSocialFiの発達が発生。
・BTCはブロック高919,300前後あたりでATHしその後ベア相場が来る…と思っていたが、米国が爆買いしてきた際には圧倒的な買い圧として単体で相場を無理やり変動させられてしまうので正直今サイクルのこれからの動きは全然わからない。少なくとも安易なショート戦略やレバレッジをかけた取引は非常に危険に。
仮想NISHI/クリプトアナリスト
今年のビットコイン市場の焦点は米国の「ビットコイン戦略備蓄構想」の行方に集まっている。
この法案は、米政府が5年間で計100万BTCを購入し、戦略資産として備蓄するという内容だ。ビットコインは発行上限が決まっている無国籍資産であり、金と同様、インフレヘッジの役割を果たすことが狙いとなっている。米ドルのインフレリスクに備え、国家がビットコインを保有する意義について議論されることになるだろう。特にトランプ政権は暗号資産推進に積極的で、こうした政策が政権支持率の向上にもつながっている。
昨年、ビットコインはSECによる現物ETF承認を契機に上昇を続け、3月には1BTCが初めて1,000万円を超えた。米国の保守的な機関投資家の参入やFRBの利下げ政策も後押しとなり、一時は1,600万円を超えた。これにより、米国の現物ETFは約110万BTCを保有し、世界の供給量の約5%に達している。
一方、今年はFRBがインフレ抑制を優先するタカ派的な姿勢を示しており、政策金利の動向には注意が必要だ。特に利下げが鈍化すれば、ビットコイン市場は一時的に軟調になる可能性がある。過去には半減期翌年に中央銀行の金融引き締めで価格が下落する例もあったため、慎重な見極めが必要だ。
また、アルトコイン市場ではSolanaやSuiといった技術革新型プロジェクトが注目されたが、主要銘柄でビットコインを上回るパフォーマンスを示したものは少ない。ビットコインの市場占有率が高まる中で、今年の相場は国家による戦略備蓄の成否が大きく影響するとみられる。
加藤 宏幸(ひろぴー)/CXRエンジニアリング
例年通り、技術発展は期待以上の伸びを見せ、新たな分散型台帳システム誕生やブームの到来、Bitcoinの存在は世界中でますます名を馳せるでしょう。2025年は半減期翌年ということで最も価格が上昇しやすい年として有名ですが、過去に何度も起こったアノマリーは期待をしばしば裏切ります。2024年に買いが殺到し過ぎただけに、マーケットは価格上昇を織り込む時期が年々早くなります。
よって市場が思っているよりもピークを早めにつけるのではないかと予想します。
Bitcoinを長年保有し続ける投資家としてはあまり予想をしたくありませんが、2025年は意外にも厳しい年になるのではないかと予想します。金融市場は株式や不動産市況は好調を維持し続けてきておりますが、金融緩和が実施されない限り世界のキャッシュは枯渇し、流動性面で厳しくなってくると考えます。どこかで逆流フェーズを迎えるのではないかと個人的には危惧しております。
その大きな調整を待って追加投資機会を待つスタイルが2025年はよろしいのではないでしょうか。
日原翔/ETHTokyo
昨年1月、ウォール街は Bitcoin ETFの承認を祝い、Bitcoinの価格を100,000ドル以上に押し上げた。一方アルゼンチンでは、深刻なインフレが続く中、市民らが財産を守るためにstablecoinに目を向けていた。これらの対となる昨年の出来事は、クリプトのアドプションを推し進める2つの流れ、即ち制度的な統合と草の根的なニーズを浮き彫りにしている。
機関投資家においては、主にアメリカの関連規制の明確化やRWAの発展等に後押しされ、Bitcoin ETFだけで500億ドル以上の資金を集め、企業はstablecoinを財務業務に組み込み始めた。カストディの整備や流動性の向上等、基礎インフラが強化されたことで、先進国市場における暗号通貨のエコシステムは強固なものとなった。
逆に、新興国では草の根的な普及が進んでいる。アルゼンチンはこのトレンドの典型で、過酷なインフレーションが市民をstablecoinとDeFiに向かわせた。DeFiへのアクセスは、経済不安や銀行アクセスの制限等に苛まれる地域の金融包摂の一助を担った。
2軸の間には、相乗効果もあれば緊張関係もある。制度的インフラは草の根の利用者に恩恵をもたらしたが、規制遵守に注力するあまり、金融包摂や次世代のデジタルインフラといった、根底且つ崇高な目標が蔑ろにされてしまう危険性がある。今年以降の課題は明確にこの調和であり、制度の効率性と草の根のアクセシビリティの両方を繁栄させることにある。金融機関は包括的なインフラをサポートするが、同時に草の根イノベーターもアクセスやインクルージョンへの注力を失うことなく、肥大する流動性を活用すべきである。Fartcoinすら月へと昇るこの世界、成功の尺度は時価総額ではなく、Satoshiが我々に託した変革の可能性を実現できるかどうかであると強く思う。
暗号資産/ブロックチェーン業界「2025年の展望」Page 2
山田耕三/Digital Entertainment Asset・PlayMining
2025年はブロックチェーンの社会実装が進むという点で重要な年になると思います。
ステーブルコインが送金手段としてPMFしている状況ですがDePIN(分散型物理インフラネットワーク)というキーワードをフックに多くの大企業や自治体がブロックチェーン技術を導入していきます。
弊社 PlayMiningはその中でも世界に模範を示すべく「課題解決ゲーム」の取り組みを拡大させていきます。
東京電力さまと連携している陣取り合戦&電力インフラ点検ゲーム「ピクトレ」をはじめ、あらゆるコミュニティを活性化するゲーム「コミュニティウォーズ」、遠隔ゴミ分別ゲーム「エコキャッチャーバトル」など、将来的には課題解決をテーマにしたゲーム群が並んでいきます。
ゲームを通じて現実に良いことをする、このプレイ体験はやってみたらハマります! 是非「ピクトレ」から遊んでみてください!
村田卓優/グリーホールディングス
あけましておめでとうございます。
2024年は暗号資産相場の好調に牽引された明るい展望が多々ありました。2025年も引き続き暗号資産相場への参加者が増えることに伴う健全な相場の上昇に十分な期待を持っています。株式や債券に代わるオルタナティブ資産としての地位を確固たるものにする1年になると期待をしています。
同時にMemeコインや一過性のトレンドに乗っかったものは次第に駆逐されていきます。信頼性と流通量のある時価総額の高いトークンの増加が見込まれるためです。氏素性のわからないインフルエンサーは消え大きく取り巻く環境が変貌していきます。脆弱だったあらゆる基盤はよりセキュアに変わっていきます。その上で多くの事業社が事業投資をするに値すると評価されるビジネス基盤に成長をしていくことを期待しています。
一言で言いますと、インディーズからメジャーへ変わるような、愛しさと切なさと心強さを感じる1年になることでしょう。
上野広伸/double jump.tokyo
2024年のブル相場が2025年に入っても継続し、どこかのタイミングで最盛期を迎えます。国内においては日本版ステーブルコインが稼働し始め、ユーザ利点もあるがそれ以上に、既存企業にとって暗号資産ではない形でオンチェーントークンを扱えるという利点があり、企業アダプションが進むことになるでしょう。
大きなテーマとしてはAI(AIエージェントなど)に注目があつまり、AIとブロックチェーンを組み合わせた新規性あるエコシステムが発展します。弊社としても「Animechain.ai」というプロジェクトで、AI x アニメ x ブロックチェーンを組み合わせたエコシステム構築を進捗させます。
コンテンツレイヤーとしては弊社から「魁 三国志大戦」というブロックチェーンゲームをローンチします。こちらweb3に慣れないユーザにも使いやすいものにしているので、業界の発展のためにもきっちり実績残したいと考えています。
小澤孝太/CryptoGames
2024年はやはりTONは衝撃的でした。Hamster Kombatが、2024年6月にユーザー数1億人を達成してから2週間で2億人、というニュースを見た瞬間にCryptoGamesでもTONへの参入を決断しました。2025年以降、KAIA他SNSにシームレスにブロックチェーンが導入(ウォレット内蔵→ゲームで稼ぎ→決済で使用)されていく中で、集客エンジンとしてゲームが用いられていくので引き続き注力していきます!という普通なコメントは以上にさせていただき(笑)、
個人的には、ブロックチェーンゲームの魅力の一つが、ワンチャン稼げるかもしれないUXと仮定し、2025年は「いかに合法でギャンブルをさせるか」にチャレンジしていきます。
AAAタイトルのようにお金をかけて開発・保守を前提すると、ユーザーに還元できる対価がどうしても減ってしまいます。CryptoGamesでは、開発・保守費用を下げてなるべく還元するだけでなく、AstarFarmやOasJumbo!(企画開発)のように、ユーザーのトークンをコントラクト上で運用し、プラスサムで100%以上を還元できるサービスをこれまで生み出してきました。開発中のNFTオリパ(仮)は、無償でのみ獲得できるポイントxベッティングの得喪が発生しないモデルになっています。そのような、合法でギャンブルに2025年はチャレンジしていきます! (笑)
石濵嵩博/Yay!
引き続きweb2サービスとweb3サービスのマージが進むと考える。
web2側はよりweb3に寄り添う形でサービスの設計にDeFiやトレードを組み込むようになる。web3側はweb2に劣らないクオリティサービスの構築を目指す。
2024年後半にはHyperliquidやAI Agent系のサービスが出てきたが、引き続きキラーユースケースを業界は探し続ける。本当の意味で日常使いできるようなweb2サービスがweb3とマージしたとき、大きな爆発を生む。それをこのサイクル内に起こせるかどうかが勝負どころだと考えている。
原井義昭/Brilliantcrypto
2024年は暗号資産の厳しい冬の時代を終え、ビットコインが堅調に推移するなど春の芽生えを感じさせる年でした。続く2025年はどのような年になるでしょうか。世界に目を向けるとビットコインに好意的な姿勢を見せるトランプ政権の誕生、国内に目を向けると政府与党の税制改正大綱において暗号資産の税制改正見直しが正式明記されるなど、追い風となるニュースもあり陽春の訪れとなることを期待しています。
ゲーム業界では2024年終盤に日本暗号資産ビジネス協会において当社も参画するブロックチェーンゲーム部会が設立されました。2025年以降業界が横断的に協力しブロックチェーンゲームの事業環境の整備と発展に向けて動き出します。
そのような事業環境の中での当社の取り組みを振り返りたいと思います。2024年はブロックチェーンゲーム『Brilliantcrypto』をリリースし、自社トークン「BRIL」を上場グループ企業として初めてIEOさせ、世界中のユーザーにゲームをプレイしていただいたことで、狙いとしていたデジタル宝石の価値創出に成功しました。
2025年はジュエリー工房でジュエリーを製作し、NFTジュエリーとして所有・取引ができるロードマップのPhase2に移行します。ジュエリー工房のリリースに先駆けて、ジュエリーデザイナーや、ファッションクリエイターと製作したジュエリーの展示・販売イベントをグローバルに実施する予定ですのでぜひご期待ください。
引き続き「ブロックチェーン技術とゲームのちからを使って、新しい価値を創造」し、ブロックチェーン業界の発展、ひいては日本の国際競争力に貢献してまいりたいと考えています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
島岡秀知/DeNA
2024年は前半にFarcasterやBaseの盛り上がりとTONの登場などでより一層コンシューマ向けユースケースが広まりました。ただ夏頃からは事業者にとってはトレンドが追いづらく難しい時期が続きました。しかしアメリカ大統領選をきっかけにまた大きくクリプトへの注目が集まり、次なるユースケースの発掘が待たれています。
そこで2025年の展望ですが、1つは『AIネイティブなクリプト事業の発達』があると思います。これを書いている正月にもAI AgentやDeSciなどのAI文脈で資金を集めているプロジェクトに注目が集まっています。
– AIを使ったSNS運用
– AIを用いたデータ分析
– AIを用いたセキュリティ監査
など多くのAI要素がクリプトと融合されていく1年になると思います!
僕個人としては直近LLM関連の仕事に携わるようになったので、今年こそクリプト×AIは注目して追っていきます
沼崎悠/X2Y2 Japan
クリプトにおける正統進化と呼べる領域は、クリプトネイティブな金融領域での成長が大きな主戦場でした。
2025年は、1)オフチェーンの領域を取り込めるのか、2)金融以外の領域でも大きなPMFを達成出来るのか の2つが大きなトピックになります。
1)は既にステーブルコインやRWA(というよりも米国債ですが)で一定取り込めているし、ここから更に拡大していくか、という点に注目です。既に各国政府が無視出来ない規模になってきたクリプトにとってはほぼ規定路線と言える成長領域なのかもしれません。
2)は金融領域以外でのPMFが達成されるかどうかは、今後のプロダクト動向にも影響するようなもう一つの大きな領域です。GameをGameFiと見るとか、Web3Gameと見るかにもよりますが、投資では無くサービスやコンテンツの消費にお金を使って貰えるようなユースケースが達成出来るのかは、特にブルマーケットの中では大きな変化になります。
高長徳/SBINFT
2025年は、トランプ大統領就任の影響により、ビットコインとともにアルトコインが引き続き活況を呈するでしょう。また、国内市場においてステーブルコインの利用が本格的に開始され、様々なユースケースが出てくる見込みです。
年始にはグループ会社でもあるSBI VCトレードが「USDC」の取り扱いを発表しました。ステーブルコインは、決済市場をはじめとして、世の中に大きな変化をもたらす可能性を秘めているので、要注目です。
そして最も注目すべきは、昨年から市場で話題になっている、「Crypto」と「AI Agent」を組み合わせた新たなプロダクトです。
AI Agentによる取引の自動化が進むことで、トランザクションの大部分がAI Agentによって創出されるのではという予想も出ており、「Crypto」×「AI Agent」が、大きなトレンドになると考えています。
NFTは、本年も引き続きゲームやエンタメ業界が牽引するとともに、企業のマーケティング分野での活用や、サプライチェーンの透明化、商品の真正性証明において利用が拡大すると予想されます。政府や自治体が、地方創生やインバウンド対応などにNFTを導入するなど、公共分野での活用もこれまで以上に多く発表されるでしょう。
ブロックチェーンゲームにおいては、国内では注目のタイトルが数多くリリースされる見込みですが、人気のIPを活用したタイトルも多く、市場全体が今まで以上に活性化されることが予想されます。
当社は、本年も「SBINFT Mits」、「SBINFT LAUNCHPAD」、「SBINFT Market」の提供により、企業・プロジェクトがNFTを活用して成し遂げようとする目標に向けて伴走し、市場拡大に寄与すべく取り組んでまいります。
paji.eth/Tokyo Otaku Mode
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
私からはブロックチェーン領域の中でも、toC向けサービスのマスアダプションに向けての展望を書いてみたいと思います。
ズバリ、今年2025年は”とっつきやすさ”が重要なテーマとなるでしょう。
2024年を振り返ると、世界的にも大きく盛り上がったミームコイン、テレグラムのミニアプリ、そして、国内で「JBA Blockchain Award」受賞でも注目されたFiNANCiEなどのtoCサービスに共通するのが、”とっつきやすさ”でした。
AIエージェントをはじめ、AGI達成目前のように見えるAIが、この”とっつきやすさ”を強烈にアシストしてくれる一年になるでしょう。
天羽 健介/Animoca Brands Japan
2024年はビットコインに続きイーサリアムのETFが承認、また、米大統領選においてトランプ氏が暗号資産推進派であると示したこときっかけに相場は盛り上がりを見せました。2025年も変わらずwebの先行きを示す最も大きなファンダメンタルになると思います。また暗号資産への資金流入サイクルの歴史から見て上期はポジティブ、下半期のどこかでトレンド転換があるかもしれません。
各産業やレイヤー毎のトレンドにおいては、昨年Animocaとしてはチェーン等のインフラ領域に寄せ後半からはAI領域への投資を強めました。そして今年は相対的にアプリケーション領域が増えてくると思います。引き続きAIエージェント、Socialfi、Meme Coin、Depin、Defi、Stable Coin領域においては形を変えながら進化していくものと見てますし、取引量においても回復基調にあるNFTも盛り上がってくると思います。以前のようにわかりやすいトレンドというよりは各々の領域が各々育ち、適宜クロスしていくイメージです。
また日本市場においては昨年のTelegramメッセンジャーアプリ×web3の隆盛をうけLINE/KAIAの取り組みや資金決済法or金商法の議論に先行して新設されるであろう暗号資産媒介ライセンスに注目しています。これらの動きを見ながらAnimoca Brands Japanは日本とグローバルの架け橋となりwebプロジェクトをサポートすることでweb3が社会に根付くために尽力していきます。
施井泰平/スタートバーン
あたらしい経済さんの「202◯年の展望」が始まって5年目。これまで毎年のように業界全体が注目するトピックがあったように思いますが、今年はこれだという統一見解がなさそうな年に感じます。
逆に言えば、これまでにあらゆる良い面も悪い面も含めた可能性が出揃い、ここからは社会実装をじっくり詰めていくフェーズに移行しただけかもしれません。
その中でも個人的に注目している動向としてはAccount Abstractionがあります。Web3サービスの使い勝手がアップデートされ、管理がしやすくなることはWeb3の普及に不可欠なアップデートとなるでしょう。
スタートバーン株式会社としては、ようやくNFTバブルの喧騒から離れ、自分たちがやるべきことに対して選択と集中ができる環境が整ってきました。初心に立ち返りつつ、大きくアップデートしたサービスを楽しんでいただける年になればと思っております。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
徳永大輔/SUSHITOPMARKETING
2025年、Web3領域では「技術を感じさせないUX」が成功のカギを握ると考えています。SUSHITOPMARKETINGが推進する「みんなのあしあと」プロジェクトでは、キー局を含む複数のテレビ局でNFTを活用した視聴者参加型キャンペーンを実施しましたが、ユーザーには**「ブロックチェーン」や「NFT」という言葉を一切意識させない**ことを徹底しました。
特に、LINE公式アカウントをインターフェースに利用することで、従来のQRコードやポイントサービスの延長線上でNFTを受け取る導線を作り、Web2層のユーザーにも抵抗なく参加してもらうことができました。
私たちが取り組む「NFTマーケティング」は、Web3の文脈に縛られることなく、逆説的にその概念を破壊し、あらゆる領域に浸透させることを目指しています。2025年は、こうした新しいUXの設計が、ブロックチェーンの普及と生活への定着を後押しする1年になるでしょう。
miin@NFT情報コレクター/無所属
2025年のブロックチェーン業界では、これまでにない大きな変化が起こることが期待されています。米国におけるブロックチェーン推進の流れは、従来の「国家vs個人」という構図に一つの終止符を打ったように感じられます。今後、中国のような規制が厳しい国でも条件付きでブロックチェーンの活用が始まるとすれば、この技術は世界的に無視できない存在となり、多くの企業や開発者が積極的に採用する流れが加速すると予想されます。
また、AIエージェントの進化によって、個人が暗号資産(クリプト)に参加するハードルが大幅に下がることで、「オンチェーンであること」の価値がこれまで以上に注目されるのではないでしょうか。さらにAIと人間を区別するための技術もクリプトの得意とする分野であり、今後の重要な役割を担う可能性があります。
2025年こそ、「儲からないけど、社会やエンタメの役に立つ」ブロックチェーンの新たな活用方法が広がることを期待しています。
岡本伊津美/NOT A HOTEL・NOT A HOTEL DAO
NOT A HOTELでは2022年にNFT、昨年2024年には独自暗号資産NOT A HOTEL COIN(NAC)を活用しホテル宿泊ができるWeb3サービスを開始いたしました。
昨年のNAC新規発行は、国内過去最大規模である20億円、かつ日本初となる現実資産(RWA)をサービスに組み入れたIEOとなりました。NOT A HOTELは、NAC保有者が宿泊権や関連サービスを利用できる仕組みを整えて、Web3技術とRWAを融合させた新しい体験を提供しています。
今後、暗号資産に関する法制度や税制度の整備、ブロックチェーンの技術革新に伴い、新しいユーザーや事業者が参入しやすくなってくることが予想されます。実際に、当社のNFT / NACをご購入いただいたお客様の大半が「初めてのNFT / 暗号資産を購入」というお声をいただいておりますが、当社は、こうした新規ユーザーに、Web3サービスは「簡単・便利」という印象を持っていただけるよう、お客様に寄り添ったサービスを提供予定です。
また、Web3事業の立ち上げをご検討されている方に対しても、NOT A HOTELの「Web3活用事例」として、プロジェクトの推進方法やメリット及び課題を情報発信していく予定ですので、当社の活動にご注目いただけると幸いです。
2025年も、Web3サービスを通じてNOT A HOTELを楽しんでいただき「すべての人にNOT A HOTELを」という当社のMissionを実現しつつ、業界のリーディングケースを作れるように、プロジェクト運営を進めていきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
赤木翔/enXross by TOKYO DOME
AIエージェント、ステーブルコイン、BTC-Fiといったプロジェクトが、2025年のWeb3の主役になると思います。その一方で、エンタメやスポーツの分野では、ファンの数を増やす、ロイヤリティを上げる、熱量を可視化する、こういったIPホルダーの課題をweb3でどう解決するか。今年も、それを模索する1年になりそうです。
2021年のNFTブームを振り返ると、当時はインフラに注力するプロジェクトが多かったですが、2025年は大きく変わりつつあります。レイヤー2チェーン、ミームコイン、web3ゲームなどの分野は、大きく進化し、アプリケーションのUI/UXも改善されています。そこに、AIエージェントなどの新しいプロジェクトが絡んでくる。
こんな流れで、エンタメやスポーツなどのメジャーなコンテンツ領域にもweb3が広まっていく一年になることを期待しています。
濱田翔平/KlimaDAO JAPAN
2024年、暗号資産市場において実物資産(RWA)のトークン化が注目のバズワードとなり、グローバル市場および国内市場で大きな発展を遂げました。この潮流は、カーボンクレジット市場にも波及し、ブロックチェーン技術を活用した新たな取引形態の可能性が強く認識される年となりました。
2025年は、この動きが更に加速すると予測されます。特に日本市場においては、改正資金決済法に基づくステーブルコイン規制の整備により、デジタル資産取引の法的基盤が強化されました。これにより、カーボンクレジットのトークン化・流通プラットフォームと既存の金融システムとの連携が進み、より多くの事業者や投資家の参画が期待されます。
我々のプラットフォームでは、この規制環境の整備を追い風に、ステーブルコイン事業者との連携を既に開始しています。2025年は、これらの取り組みを通じて、日本発のカーボンクレジット取引のデジタル化を牽引し、グローバルな脱炭素化に貢献してまいります。
岡崇/Borderless
あけましておめでとうございます!
今年は、DAOLLC元年になりそうです!
「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」—この言葉がピッタリ当てはまる年になると確信しています。
AIAgent〜ICOブームの再来が火種となり、LaunchPad等の投資家とプロジェクトのマッチングを担う機能が大きく息を吹き返し、クリプト市場への大幅な資金流入が予想されます。
しかし、前回までのブームと決定的に違うのが、アメリカのクリプト規制に対する姿勢です。今までは、アメリカの規制リスクを徹底的に排除したトークンローンチがプロジェクトの常套手段になっており、DAOが責任逃れの手段として暗躍していました。
トランプ大統領就任に伴う、アメリカの姿勢変容は、プロジェクトが法規制から逃げるのでは無く、クリプトフレンドリーな法規制に迎合しにいく、またとない機会になります。
そこで、2025年後半からは、アメリカのDAOLLCを発行体とするプロジェクトが増え、「トークン発行するなら法人はDAOLLC!」という基準が一般化すると予想しています。
加えて、グローバルの著名なDAOが資金管理や一部管理機能を法人で運用する流れが増える一方で、伝統的な企業がトークンを発行するケースも増加しています。このようなWeb3とWeb2の融合の中で、オンチェーンと法人格のハイブリッド運用が可能なDAOLLCは、業界にとって重要な選択肢となるでしょう。
2025年は、規制とクリプトの厚い壁が壊れ、本格的にブロックチェーンが社会インフラとして活用されるための大きな年になると確信しています。
共にこの新しい時代を切り開いていきましょう!
辰巳喜宣/三井物産デジタルコモディティーズ
Bitcoinは既存金融との融合が進むことにより、これまで以上にマクロ経済の影響を受けやすくなると思いますが、不確実性の高い世の中において(価格の上下はありますが)市況は引き続きポジティブに捉えております。
一方、Bitcoin以外のCryptoに対しては、これまで以上に更なる淘汰が進んでいくと考えています。
グローバルではBlackRockのBUIDLに続く魅力あるプロダクト、国内ではいよいよ始まるステーブルコインの流通に期待しています。
神脇啓志/Fintertech
今年は、海外ではビットコインがオルタナティブアセット(デジタルゴールド)としての地位を確立する年になると考えます。
その中でSBR(ビットコイン戦略的備蓄)を米国が導入すれば各国が追随すると思われていましたが、米国が動かなくてもこの動きはもう止められない状況になっており、企業や年金基金がビットコインを保有する動きも加速すると思われます。金融機関の保有にはバーゼル規制の影響が注目でありますが、機関投資家の中では持たざるリスクが意識される可能性も。暗号資産に慎重な姿勢の国内においても、これらの動きは無視できないものになるでしょう。
当社は、創業時から暗号資産をはじめとしたデジタルアセットが社会基盤として浸透し、多くの人がデジタルアセットを保有する時代を見据えており、予想した未来の実現度は確実に高まっていますので、引き続きWeb3×金融の分野において、デジタルアセット担保ローンをはじめとしたお客様に寄り添ったソリューション提供を本年も行ってまいります。
松嶋真倫/マネックスグループ・マネックス証券
2025年は、暗号資産市場と金融市場のつながりが一層強化される中で、強気相場の継続が期待されます。ビットコインは現物ETFの実現により、アセットクラスとしての地位を確固たるものとし、国家レベルでのビットコイン準備金の導入が検討され始めています。また、米国の規制環境の改善を背景に、アルトコインの取引が活発化し、特にステーキングなどの利回り商品が幅広い投資家の需要を高めると見込まれます。さらに、現実資産のブロックチェーンへの組み込みが進むことで、分散型金融(DeFi)への関心が再燃する可能性もあります。
一方で、暗号資産市場が金融市場と密接になるほど、世界経済の影響を受けやすくなる点には注意が必要です。たとえば、トランプ大統領の政策などの影響で利下げの方向性が揺らぐ場合、他のリスク資産と同様に価格が大幅に変動する可能性があります。また、現物ETFの裏で拡大するカストディリスクや、現実資産のトークン化に伴うシステマティックリスクといった新たな課題も慎重に見守る必要があります。
中野泰輔/ウォース
昨年の2024年は、米国大統領選やMiCARを始め、レギュレーション周りでの変化が多い一年でした。2025年の相場や業界の方向性は、トランプ新大統領の温度感に委ねられると言っても過言ではないでしょう。
2025年に注目しているトピックは「AI x Crypto」です。自分自身この領域に可能性は感じていませんでしたが、昨今のAIの進化と市場へのMeme的な受け入れられ方から、もうひと波トレンドが訪れてもおかしくないと思います。
また相場が戻ってきたいま、日本企業の各種リリースも相次いでいることから、国内企業の暗号資産保有事例も増加する見込みがあります。国内でも暗号資産ETFへの期待が高まっていることから、ビットコインの資産的価値は大きく向上する一年となるでしょう。また個人的には、米ドルステーブルコインの日本市場参入にも期待しています。
星野怜生/電通グループ
暗号学と経済学がブロックチェーンから離陸する。サイバーセキュリティや政策評価など、より現実的な課題に邂逅する。漠たる計略に点睛を知る。
クリプトは金融機能に集中する。新しい資産クラスになる。自己責任範囲を拡大する気概があれば、より前衛的なポートフォリオが形成できる趨勢。
他は全て漸次的に進行する。もはや驚きすらない、統合と分散の定期波と、トレンドやミームが掛け声のコンテンポラリーな異常波が、起こるのみ。
遅くなる帰還の先にでも、辿り着いた場所がかつてのクリプトが夢想をした景色の中にあってほしい。前線にいる酔狂人を全力で応援していきます。
中村健/TIS
2025年は、暗号資産やブロックチェーン技術、そしてweb3業界において、国内企業が飛躍するための重要な転換点となるでしょう。特に米国市場での新政権の下での政策変革は、日本を含む各国に影響を及ぼす可能性があります。また、2024年には海外において多様なweb3ユースケースが登場し、その背景にはweb3のインフラサービスやプラットフォーム、開発環境やツールの目覚ましい進化があります。この流れを受けて、2025年も引き続きブロックチェーン技術を駆使した革新的なアイデアが次々と実現され、多様なユースケースが展開されることが期待されます。
TISでは2025年も、分散型自律組織(DAO)、資産や体験価値のトークン化(RWA)、そして日本市場におけるステーブルコインの活用と新たなユースケースの創出に注力してまいります。そして、今後もweb3の技術を通じて、安全で便利な新しい体験を提供し、価値あるサービスをトータルプロデュースできるように取り組んでまいります。
齊藤達哉/Progmat
2025年はAI Agentの時代だ。
(ブームに乗っかったただのミームコインの意味ではない)
AI Agentはプログラムであり、各種プロセスの全てをプログラマブルに完結できるとポテンシャルを開放できる。
様々なビジネスと金融は一体不可分であり、金融システムをプログラマブルな形に進化させることの重要性が”リライト”される。
個別最適の手段がAPIだとするならば、金融機関間や企業をネットワークで結んで価値を動かせるようにする全体最適の手段が、トークン化だ。
金融機関×RWAトークン化がメジャートレンド化するという2024年の展望は、海外中心(BlackRock等)に実現しその潮流は不可逆だが、日本の進展は道半ば(個人的には50点)だ。
ただしその要因は一過性であり、2025年は日本のセキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン(SC)にとって飛躍の年になる。
具体的には、
1)ST市場は6,500億円規模、ST発行累計額は3,400億円規模/94案件程度まで伸長する
2)国産SCは、クロスボーダー送金文脈でSwiftとの連携が進み、トークン取引文脈では「ST×SC」の実装が進む
暗号資産ETFを契機とした、トークン関連法案再編の動きも見逃せない。法改正を前提とすると早くとも2027年春だが、信託を用いた早期実現も可能かもしれない。
いずれにせよ、ST/SCにとっては、2027年の規制再編と取引活発化に備えた動きを始めるのが、2025年だ。
「やらない後悔より、やって大成功」
どうなるか?ではなく、どうするか。ぜひ皆さんと一緒に当事者となって「2025年は100点」といえる年末を迎えたい。
小林英至/Securitize Japan
セキュリティ・トークン(ST)界隈で2024年の最大のニュースといえば、世界最大の資産運用会社BlackRockとSecuritizeによるEthereum上でのトークン化ファンドBUIDLでしょう。BUIDLはオンチェーン完結での投資を可能にする画期的モデルで、とりわけオンチェーン住人に刺さったこともあり、3月のローンチ後数週間で瞬く間にAUMで競合ファンドを超えました。その後もUSDCからの直接購入、マルチチェーン展開などエコシステムの拡大が続いています。
昨年は日本でもSTの世界がさらに広がりました。Securitizeが取り組んだ案件では、丸井Gによる第4号応援自己募集社債(太陽光発電支援)、ソニー銀行による米ドル建・銀行販売型ST(日本初の米ドル建てST))、フィリップ証券との映画「宝島」ST (日本初の映画ST)などなど。
2025年、グローバルではステーブルコインの裏付けとか、ベースアセットとしてのトークン化MMFなどのさらなる拡大が見込まれ、金融•資本市場における確固たる位置づけを得ていくでしょう。
日本では昨年に続き自己募集社債ST、合同金銭信託•銀行販売型ST、映画・IPのSTなどファン・マーケティング・顧客エンゲージメント強化の切り口で更に多くの参加者が出てきそうで、「ファイナンスxマーケティング」目線の案件が広がりそうです。
プライベートチェーン中心に独自の発展を続ける日本ではありますが、BUIDLのようなグローバルの流れを受け、今年はパブリックチェーンの案件も出てくるものと考えられます。2025年はSTの更なる多様化、世界標準に近づく取り組みなど、STの飛躍の年としたいものです。
志茂博/コンセンサス・ベイス
主に大企業におけるビジネス活用の観点のみの展望を。
2024年は、NFT、DeFi、ステーブルコイン分野のご相談が多く12月よりAI Agentの話も。
2025年の大枠の展望
・クリプトサマーは来るが緩く、トークンを持たない企業への影響は少
・マスアダクションは、まだ3-4年先
・主な話題はAI Agentとステーブルコイン
・ビジネスで主に利用されるチェーンは引き続きEthereum+L2
・ビジネスにおける大きな進展はない
・ウォレットを中心としたUX改善が進む
個別の展望
・AI Agent: 今年は話題になるだけ。検討が始まる。ビジネス利用はまだ先。
・ステーブルコイン: 国内で発行されるが、まだ初期。ビジネス応用はまだ先。
・DeFi: 企業による利用は少しだけ増えるが、まだ先。
・RWA: 米国で盛り上がる。日本は一部で初期段階。
・ST: SCが発行されるが、ST発行企業以外は初期段階。
・あまり変化なし: DAO, NFT, DePIN, DID/VC
紫竹佑騎/暗号屋
昨年はBTCのATHが起こり、ブロックチェーン/暗号資産領域としてはまさに夏が来た!という感じでトークン全般の価格の上昇が見られた年でした。お陰で面白いプロダクトも増えたり、MEMEの様なファイナンスのGemifyまで起こり、新たなカルチャーが生まれました。そんな中暗号屋で始めたマーケットメーク事業は大成長し、関わらせて頂いたプロジェクトでは数十倍の価格上昇を起こす物もいくつか出てきました。
2025年はMEMEやAI Agentのお陰でプラットフォームが充実し、もっとカジュアルにトークンを発行して活用するプロジェクトが再び増えてくるのではないかと予想します。暗号屋にとっての2025年はマーケットメークをさらに深化させ、自社事業を安定的に成長させる重要な1年になると考えています。これまでの成功を振り返ると、僕らのアプローチや戦略が正しい方向にあることを確認できましたが、これを更に体系化し、他のプロジェクトにも適用できるような汎用性を持たせたいと考えています。
僕らとしては粛々と、トークン経済の復興を後押ししていければと思ってますが、支援している中で思うのはすでに事業やコミュニティを持っている方がトークンを活用する場合では上手く経済圏が回るなと思っています。ですので既存の上手くいっている事業者がトークンを活用して事業を伸ばせるDePINの様な領域や、そもそもの価値の源泉とセットのDeFi領域が引き続き伸びていくと感じています。
圷健太/ Bunzz
“米SECによるビットコイン現物ETF承認”という重要なマイルストーンから始まった2024年。さらにクリプトフレンドリーなトランプ政権の誕生に後押しされBTCは過去最高値を更新し、チャート的にはクリプトサマーと呼べる季節を経た今、2025年からは特に市場規模に見合う実需を生み出せるかが今後の市場の成長キーと考えます。
ミーム、DeFi、NFTといったピュアでオンチェーンに閉じたクリプトに加え、RWAをはじめ、実存アセットの流動性向上にブロックチェーンが実際に寄与できるかが問われていると肌で感じています。
Bunzz、AnyAltもまさにweb2とweb3を技術的にブリッジすることをミッションとしており、業界の発展に全力で貢献してまいります。
堀井紳吾/PBADAO
2025年は日本と世界の歩みの大きな分かれ道となるのではと思っております。
まず、本領域はアメリカを中心に社会実装に大きな進展があると考えています。具体的には暗号資産・ステーブルコインの決済領域がすでに動きはじめています。日本においては、現在再検討が行われている暗号資産の位置付けにより、税制面が大きく異なる状態です。また、法務面では参入障壁が高く事業者が多く参画する市場となることを見込みづらい状況から競争が生まれず発展に遅れが出る可能性もあるかと思います。
しかし、その反面、私の考えとしましては、より具体的なビジネスモデルが求められているという見方をしており、中長期的な目線でより日本らしいシステムの構築がされていく土壌ができてきているのではないかと思っております。
現時点の各国における税・法等の前提条件をもとに日本のブロックチェーン・暗号資産領域をどのように成長させていくかは、事業者が芽を出し、国がそれを伸ばす準備とコミュニケーションを取れているかが2025年のポイントとなるのではないかと考えております。
小野暢思・佐藤太思/DeFimans
・業界展望
オンチェーンの資本効率改善
・理由
オンチェーン市場の資本効率が改善すると予測する。特にYield Trading、Filler及びCuratorの発展により改善が進むだろう。具体的には、PT(ゼロクーポン債)のレンディングプロトコルへの担保化が進み、過少担保型レンディングの登場やレバレッジポジションの最適化が図られる。同時にintentにより流動性断片化へのソリューションが進展しUXを向上させるだろう。一方、運用手法は複雑化し、CuratorやFiller等の新たな運用者の存在感が高まるが、戦略のブラックボックス化や分散化の遅れが課題となる。だがDVT同様分散化は不可避であり、Curatorは戦略巧拙が、Fillerはダッチオークション戦略やレイテンシー(ExEx利用等)がそれぞれ差別化要素となる。このようにオンチェーンの高度化が進むと同時に、エンドユーザー向けの高度な運用戦略へのアクセスも加速する。
岩崎翔太/PacificMeta
2025年にはステーブルコインが引き続き注目を集めると考えられます。
黎明期のWeb3業界だからこそ、確実に社会に貢献している技術や分野をピックさせていただきました。
現在、私たちWeb3事業者にとって、ステーブルコインはもはや取引の標準的なツールとなっています。主に海外企業とのやり取りでは、従来の銀行を介する手続きの煩雑さを解消し、瞬時に決済を完了できる利便性を実感しています。大手企業の国際送金がステーブルコインによって便利になる世界が近いと予想します。
具体的な事例として、JPモルガンの「JPMコイン」は、企業間決済を高速化する取り組みで注目されています。従来は数日かかっていた処理をわずか数分で完了させることで、ビジネスのスピードが大幅に向上しました。一方、日本国内でも主要メガバンクがステーブルコインを利用した国際送金の実証実験を進めており、これが新たな金融の枠組みを形成する可能性を秘めています。
Tether社の業績も、ステーブルコインが収益化モデルとして確立されつつあることを示しています。同社は1年で100億ドルを超える利益を生み出しているとされ、Web3の分野で数少ない収益を生み出す成功事例として注目されています。
平野淳也/起業家・投資家・HashHub創業者
2025年の暗号資産業界について、市場観点ではトランプ政権が推進する「Bitcoin準備金」法案が最大の焦点です。現在提出の法案が可決されれば、米政府が毎年10万BTCを購入し、Bitcoinの価格と信頼性を大きく押し上げると期待しています。一方、法案が実現しない場合には市場戦略を迅速に調整する可能性も考慮します。
他、今年予想および期待する事象として、①オンチェーンでの中央集権的運営の増加、②次世代の大規模ユーザー向けアプリの誕生、③AIと暗号資産の融合、を挙げます。
一方で、米国金利上昇や欧州危機などのマクロリスクや、新規DeFiプロジェクトの拡大リスクにも留意しています。今年も市場への柔軟な対応と前向きな姿勢を維持する考えです。
Sg / Ecdysis
2025年もまた、「再帰性価値」の時代であると言えるでしょう。この概念は、ミームやブランド、KOL(Key Opinion Leader)のように、その本質的な価値や機能性以上に認知や価格が跳ね上がる現象を指します。今日、どれほど優れた技術であっても、この再帰性価値をうまく活用しなければ市場での生存は困難です。それこそ、時代を象徴する構造と言えます。
一方で、サイファーパンク的な「自己主権価値」の発明は依然として進展していますが、その果実は多くの場合、利便性を優先し、社会インフラに強く依存する「産業性価値」に適応した形で提供されます。この産業性価値の基盤は、恐慌などの混乱が訪れると崩壊しやすい一方、自己主権価値はそのような局面でもしぶとく生き残ります。そしてまた、新たなサイクルが始まるわけです。
2025年を見通す上で重要なのは、このサイクルの中で次にどのような再帰性価値が現れるのかという問いです。これがミームであれ、ブランドであれ、あるいは新たなリーダーであれ、資本市場やクリプト産業に関わる者にとってはその恩恵を無視することはできません。むしろ、ビットコインや株式会社を含め経済全体が何らかの形で再帰性価値に依存している現実を直視し、それを理解した上で行動することが求められます。
一方、私が関与している自治DAO Algaは、自己主権価値のレイヤーに基づき、その実用性を広げています。特にNPOや公益性の高い企業からの注目が増えてきていることは心強い兆候です。私たちは、地道に実績を積み上げ、信頼を勝ち取る姿勢を崩さず進んでまいります。このような活動が未来への一歩となり、次のサイクルにおける価値創造の礎になることを願っています。
小宮自由/BlendAI
世界情勢の不安定化に伴い暗号資産の市場価格は高騰しており、金融市場においてもさらなる存在感を示しています。具体的な価値の裏付けのない資産がこれほどまでのプレゼンスを持つことになるとは、2008年時点で誰が予想できたでしょうか。
ブロックチェーンはこれまで一貫して、投機需要がメインの技術であり、ステーブルコイン等の事例も投機の利便性を高める為に利用されてきました。もはや社会生活上の利便性はほぼ求められていないと言えるでしょう。
もし「実用的な」ブロックチェーンのユースケースを構築できたのであれば、それはブロックチェーン自体の発明に準じる偉業ではありますが、相変わらずほとんどの話題は日々の値動きしかなく、そのような未来はまだまだ遠いと考えられます。もはや誰も本気で期待していないのかもしれません。
斎藤岳/暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」・ Web3の家計簿「defitact」
今年トランプが大統領に復帰することで、米国の暗号資産政策も大きく変わることが見込まれています。
米国が明確に暗号資産フレンドリーになることは過去なかったことであり、これからの4年間で暗号資産が米国そしてグローバルでどれだけ受け入れられ発展していくのか、非常に注目しています。
またこの流れの中で、国内において税制改正やETFの議論がどのように進められていくのか。大きく変わろうとしている米国や世界に後れをとらないよう、日本でも大きな発想の転換が必要となってくるでしょう。個人的には、本来web3の中で先に出てきてほしかったカブアンドのような世界観が、この業界でも見えてくることを期待しています。
柳澤賢仁/柳澤国際税務会計事務所
2017年春に初めてビットコインを購入してその年末にバブルを経験して、2021年に2度目のバブルを経験した自分としては、半減期のサイクルと同調するという4年周期説をけっこう信じています(米国経済とのシンクロ説もありうるとは思う)。
そして、今年は前回バブルの2021年から4年後の2025年。もうすでにけっこういい価格になっていますが、個人的には3度目のバブルに乗っています。
クリプト起業家(発行体)や投資家のみなさまとは違い、弊事務所はそのみなさまの税金面でサポートをする専門家という立場ですが、昨年は特に投資家サイド(コミュニティやbotter)の活躍が目にとまりました。
今年は弊事務所が過去にサポートしてきたAstar(Soneium)がどう飛躍するか、今年TGEを迎える予定で先駆者を追いかけている日系クリプトスタートアップたち(特に京大コンビ)、規制というフレームワークではかなり面白いステーブルコイン(特にJPYC)がどう動くかに注目しています。
税制改正は残念ながらおそらくまた1年後に期待という形となり、海外に脱出したい投資家のみなさまの支援も引き続きやっていきますので、お気軽にお声がけください!
沼澤健人/Aerial Partners
昨年は北米における暗号資産の現物ETFの承認と、それに対する500億ドルを超える資金流入が起きたことで、暗号資産が伝統的金融の枠組みの中での一つのアセットクラスとして地位を確立し、機関投資家や大企業の参入も進んだ1年でした。この流れは2025年以降も加速し、ステーキングETFやイールド商品といった新たな金融商品が市場に登場すると考えます。暗号資産と伝統的金融の融合が、暗号資産・Web3業界全体のさらなる成長ドライバーとなるでしょう。
一方、日本では規制整備や税制改正の遅れが依然として課題となっており、グローバルの競争において厳しい立場にあることを認識しなければなりません。日本の暗号資産・・Web3業界全体の競争力向上のため、先進市場のプラクティスを取り入れる等、前向きな改革に期待します。
Aerial Partnersは引き続き、規制とイノベーションが交差する中で生じる摩擦を解消し、デジタルアセットをより便利に、そしてより安心して活用することのできる環境を提供することで、暗号資産・Web3業界の持続可能な成長に寄与していきます。
田中計士/EY新日本有限責任監査法人
自民党「web3ホワイトペーパー2024」において、web3企業の会計・監査の体制整備への課題認識は継続して掲げられています。
一方、昨年2024年はLPS法改正による投資事業有限責任組合からの暗号資産等投資を可能とする動き、上場企業グループ会社によるIEOの実現等、会計監査に大きく影響するような動きが複数見られました。また、日本公認会計士協会(JICPA)では、事業者と監査人の相互理解促進のために、複数事業者団体と共同で、昨年2回の「会計・監査に関する事業者・監査人共同フォーラム」を開催し、継続的に我が国の課題への取り組みを進めています。
そのほか、経済産業省では「令和5年度 Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証実験」が進められており、選定された事業主に対する著名なweb3起業家、弁護士等の専門家によるサポートの中で多様な実証実験が進められています。
私自身は、大手監査法人の会計士としての立場の他、JICPA業種別委員会暗号資産対応専門委員会の委員長という立場や、経産省実証実験のスペシャルアドバイザーとしての立場でこれらの動向に携わっておりますが、昨年1年間は我々会計・監査業界においても多くのweb3関連動向がありました。
2025年においては複数の電子決済手段等取引業者による事業開始が見込まれておりますが、会計監査義務が課されていることから我々会計士業界においても実務上の対応が必要とされてきます。その他、昨今では多様な暗号資産、トークン等の保有が広がっており、時価評価要否に係る会計上の検討やブロックチェーン上の会計監査手続などの検討もより複雑化が想定されます。
2025年もweb3業界を公認会計士としてサポートしていければと思っております。
長瀨威志/アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
2024年は、日本では、合同会社型DAOに係る社員権トークンの金融規制の緩和や、暗号資産への投資を可能とするLPS法改正などが行われましたが、全体として大きな規制の変更はありませんでした。
一方で、暗号資産の取扱いについて、これまで決済手段として資金決済法の枠組みで規制されていたところ、投資対象としての側面を重視して、より厳格な規制をかけうる金融商品取引法への移行を含めた検討が進められていることが報じられています。金融商品取引法への移行により、ビットコインETFの実現や申告分離課税制度の導入など、投資家にとって有利な制度変更が期待されるものの、有価証券のように厳格な開示規制等の対象となった場合、多くのweb3事業が事実上、撤退を余儀なくされる可能性があります。
とりわけ、米国ではトランプ政権の下、暗号資産に対する規制緩和に向けた議論が進行しており、ビットコイン準備金に係る法案が提出されるなど、極めて積極的なアプローチを急速に進めています。米国が規制緩和により市場活性化を図る中、日本が過度な規制強化に向かうと、web3事業は米国をはじめとする海外へ流出し、再び日本がweb3後進国となる恐れもあります。
2025年は、日本国内の規制だけでなく、米国をはじめとする海外の規制環境の変化を注視し、バランスの取れた政策立案が求められる重要な年となるでしょう。
清水音輝/弁護士
2025年は、日本のステーブルコイン業界が盛り上がる年になると思われます。金融庁の金融審議会である資金決済制度等に関するワーキング・グループにおいても銀行発行のステーブルコインに関する議論が展開されており、銀行発行のステーブルコインについても何らかの進展があるように思われます。
改正資金決済法の施行から1年以上が経過し、規制当局から民間企業に至るまで徐々に準備が進み、いよいよ今年は新規の発行を開始できる事業者が出てくるのではないかと期待しています。私自身のパートナー企業もステーブルコインの発行に向けて取り組んでいますが、いち早く安全に新規発行できるように全力でサポートしていきたいですね。
また、JVCEAについては、電子決済手段等取引業にまでその対象範囲が拡大されており、外国で発行されたステーブルコインについても国内の利用が加速するのではないかと期待しています。ステーブルコインはクロスボーダー決済に強みがあるため、国内外の規制同行については常に注目していきたいですね。
内田善彦/周南公立大学情報科学部
暗号資産についてみると、金融資産としての真価が試されると思われます。ブロックチェーン全体についてみると、Decentralized Identifierの有望な活用の萌芽が現れると思います。
BTCは、多くの市場参加者はBTCの価格のみに関心をもちBTCの価値に十分な意識が向いていないこと、マイニング業者や一部投資家の財務レバレッジが大きいこと、などからボラタイルな価格変動が続き、一旦は大きく価格が下落すると予想します。このタイミングでカストディー業者がハッキングにあうと稀に見る暴落に繋がるものの、ハッキングが発生しない場合には早期に半戻しすると考えます。その他暗号資産については、ビットコイン占有率の微増傾向が続くと考えます。なお、国家準備金としての暗号資産の活用は、西側先進国では実現しないでしょう。
また、暗号資産の取引をKYC無しで行うことに対する風当たりが内外双方で強くなると予想します。これに対して国内の関係事業者がどう反応するのかに注目したいところですが、日本ではKYCに対する抵抗感が大きくないweb2型決済手段の大衆化が更に進むなかで暗号資産の決済手段としての活用は更にマイナー化していくと考えます。
こうしたなか、DID関連の多くのuse caseは「DigitalなID」の域を出ないと考えますが、インテンション・エコノミーを実現するツールとして、verifiableで分散的な性質を上手く活用する取り組みが現れると予想します。これは、暗号資産技術との親和性も高く、将来の金融決済やビジネスを大きく変える可能性があると考えます。なので、中長期的にみて、この技術の活用が日本で拡大すれば、一時的にweb2型決済手段の大衆化が更に進んだとしても、次の局面での飛躍が期待できると考えます。
星暁雄/ITジャーナリスト
今年の年頭コメントでは2件の出来事を記したい。
まず世界一のテック富豪イーロン・マスクが就任する新組織「政府効率化省」の略称は「DOGE」。ミームコインDogecoinの名称にわざわざ合わせた。人事と組織名の発表後、Dogecoin価格は上昇した。過去、イーロン・マスクはDogecoinをSNSの「ネタ」にして価格操作を批判された経緯がある。新組織の命名が価格に影響することは明らかで「悪ふざけ」も度が過ぎている。
次にSEC(米国証券取引委員会)が金融犯罪者とみなし詐欺罪で起訴中の大物暗号通貨起業家ジャスティ・サンは、3000万ドル(約45億円)相当のWLF(World Liberty Financial)トークンを購入したと伝えられる。次期大統領のトランプ氏は個人としてWLFトークン売上げの75%を手にする。これは実態として次期大統領への金銭供与である。またサン氏はWLFの顧問に就任する。サン氏が司法からの保護を期待していることは明らかだ。
この2件は、トランプもイーロン・マスクも金融規律を嘲笑していることを示す。今の暗号通貨相場には、規制緩和、規律の崩壊への期待が織り込まれている。そのツケはいずれ我々のもとにやってくるだろう。
おわりに
本企画を最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。今年も88人の方々に寄稿いただけました。ご協力いただきました皆様に、編集部一同、深く感謝申し上げます。
私たちも微力ながらメディア活動を通じ、日本のブロックチェーン・暗号資産業界を、業界内の皆様、読者の皆様と一緒に盛り上げていきたいと思っています。今年も「あたらしい経済」をよろしくお願い申し上げます。
あたらしい経済 編集部一同
設楽悠介・大津賀新也・髙橋知里・一本寿和・田村聖次
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