β版が公開された次世代型SNS「FiNANCiE」の詳細に迫る特集『ドリーム・シェアリング・サービス「FiNANCiE」の正体』第2弾!今回は株式会社フィナンシェの代表取締役社長であり、ブロックチェーンカンパニーUnicon Pte. LtdのCEOも務める田中隆一氏のインタビュー後編を公開しました。田中氏にFiANCiEを運営する際に重要視していること、詳細なコミュニティ機能について、FiANCiEのビジョンについて語っていただきました。
FiNANCiEに盛り込んだインセンティブ設計
−FiANCiEを運営する上で田中さんが重要視していることはなんですか?
やっぱり重要なのは、プラットフォームの中で継続的自発的にイベントが起きることだと思っています。だからコミュニティ設計を緻密に行いました。コミュニティがちゃんと活性化する仕組みでなければ、FiNANCiEはヒーローのカードトレーディングだけのサービスになってしまって、イベント性も何もありません。
FiNANCiEのヒーローがTwitterやinstagramなど外で活躍していても、FiNANCiEの中において活躍を可視化する場は少なくなってしまってはプラットフォームとして意味がないわけです。いかにFiNANCiEの中でのお互いの価値が可視化できるかが大切です。
FiNANCiEは、ユーザー同士が盛り上がれば盛り上がるほどインセンティブが発生するような仕組みを取り入れることで、より自発的にコミュニティに活発に参加してもらえる仕組みにしています。
だからカードの初期のカードの発行ルールは10%だけにしました。残りのカードは将来発行できるようにしていて、その将来に渡る発行量は個人コミュニティが盛り上がるかどうかによって変わる仕組みになっています。
またカードがトレーディングされればされるほど、手数料として一部のフィーが発行者に回っていく仕組みも組み込んでいます。そうすることで発行者もフローとしての収益も期待できるようになります。
このようにFiNANCiEのコミュニティ内でこのようにトークンエコノミーをうまく回していくための仕組みについてはどんどん強化して内包していきたいと思っています。
オンラインサロンの欠点をトークンで補う
− FiNANCiEには具体的にどのようなコミュニティ運営機能が用意されているのでしょうか?
いわゆるSlackやFacebookグループにあるような管理機能を用意しています。コミュニティ内で幾つものチャンネルを作れ、そしてそこにカードを受け渡す仕組みが実装されています。
そしてそこで流通したカードには例えばカード発行者が、モデルだったら撮影現場への招待や、アーティストだったら似顔絵を書いてもらえるなど、ファンであるカード保有者の人が喜ぶ価値を提供できる仕組みになっています。
またコミュニティを運営していく上で、逆にカード発行者が、所有者の力を借りたいこともあると思っています。だからそのカードとコミュニケーションの機能を使って、例えば発行者が「かっこいいプロモーションビデオを作ってほしい」と思ってそれを所有者に依頼することができ、その対価としてカードを渡すことも可能です。
あとはカード保有者があるレベル以上になると発行者を手伝うことができるようになる仕組みがあります。カード購入者が増えてコミュニティが大きくなると発行者一人で管理するのは大変になってくるはずです。だからFiNANCiEではギルドという仕組みを作りました。
コミュニティ内にユーザースコアがあって、カード保有数と貢献度によってスコアが上がっていく仕組みになっています。そしてそのユーザースコアが上がると、コミュニティ内のリーダーやマネージャーに任命される権限が付与されます。するとユーザースコアが高い人達は発行者の代わりに運営を手伝ったり、コミュニティのマネージメントできたりするようになるわけです。
−確かに現在のオンラインサロンなどは、そのコミュニティ運営やサポートの部分が課題ですよね
FiNANCiEの仕組みは、まさにビットコインのコミュニティの概念と近いと思うんです。例えばビットコインのお店を作ってみんなで盛り上げていくときなどは、あれって誰かオーナーがいるわけじゃなくて、好きな人がグッズを作ったり、オフ会をやって盛り上げたりするインセンティブがあるんですよね。でもおっしゃっていた通り、オンラインサロンはその人だけのインセンティブなので、そこにどうやってみんなで運営していこうと思うようなインセンティブをミックスすることが重要だと思います。
オンラインサロンは単に情報の受け手と貰い手ではなくて、みんなで盛り上げていこうという方が持続性がありますよね。そこにインセンティブの仕組みを加えたのが、FiNANCiEの提供できる新しい要素かなと考えています。
−今回のトレードの仕組みでBancorを使うことで、いわゆるシテ行為のようなことが起こりにくいと考えていいのでしょうか?
それについてはこれからマーケットが動いていかないと絶対に起きないとは断定はできないですが、起こりづらい仕組みになっていると思っています。
なぜならまず指値で売り買いできないですし、また大量に売ろうとすると、例えば今「1万円」の価格のときに大量に売ろうと思うと、売った後の価格が反映される仕組みなので、すべてを1万円で売れるわけではないです。一気に売り抜けるなど、そういった操作はできないようになっています。
—今のFiNANCiEの仕組みは、個人がカードを発行してコミュニティを作れる仕組みです。それが将来的には団体や法人などが同じようにカードを発行できるようにする構想はあるのでしょうか?
将来的には個人だけでなく、例えばある目的で一つになった会社ではない何かの組織みたいなものも出てくると思っていて、それらには非常に相性がいいと思うので対応していきたいとは思っています。
ただ個人と集団ではいろいろ違いがあるので、例えば組織を個人と同じレベルで扱ってしまうと全体がブレてしまうと考えています。その取り入れ方や仕組みは慎重に検討したいと思っています。
FiNANCiEが目指す世界
−FiNANCiEは最終的にはどういう形になればゴールだとイメージされていますか?
最終的には多くの様々な人にFiNANCiEを使っていただいて、このプラットフォームを通じてお互いの価値をコミュニティの中で交換し合ってほしいですね。今までは仕事だと会社、飲食店だと地域など、ある程度限定された経済圏の中でみんな活動してきたと思っています。FiNANCiEはそれを開放していきたいなと思っています。
一義的に言うと、東南アジアやアフリカ、途上国の若い子たちにもFiNANCiEの仕組みやコミュニティを形成する機会を提供し、自分達の夢や目標を達成できていけるようになればいいと思っています。今まではこの世界にそういうチャンスが本当に少なかったと思うんです。
生まれてからノーチャンスであるというのは本当に苦しいことだと思います。生まれた環境によって恵まれな人たちは、チャンスがなくそこから抜け出せないがゆえに暴力などに走ってしまうことがあると思うんです。もっと平等にチャンスが人々にあれば、そういうような不幸は減っていくのではないかと考えています。そのように平等なチャンスを世界に広げるのがFiNANCiEの最終目標ですね。
FiNANCiEはFacebookを超えるか
−FiNANCiEを次世代型のSNSとして、Facebookを超えるレベルにしていきたいと思っていますか?
僕はFacebookはなくならないと思っています。でもFiNANCiEの世界観が同じようなレベルで並行していくと十分あり得ると考えています。
やはり今のFacebookは、運営企業自体が経済的利益を追求するがゆえに多くの歪みを抱えてきていますよね。資本主義における企業体としては健全だし素晴らしい組織だと思いますが、そこにFiNANCiEとして別の価値を世の中に提供できる可能性は十分ありえると考えています。
−Facebook自体がトークンを作るという話も出てきていますよね。それについてはどうお考えですか?
私も以前「Zynga」で働き、Facebookプラットフォーム上でゲームを楽しむ体験をやっていたので、ゲームの中でチップをあげられるようになるなどに、トークンを発行して流通させることは自然なことだと思っています。でも、その中で利用者自身がトークンを発行できるようにしていく、それに合わせて既存のコミュニティの仕組みを変えていくというのはイメージしにくいですね。だから彼らの作ろうとしているトークンエコノミーは、僕たちが作ろうとしているものは根本的に違うのではないかと思っています。
だからこそFiNANCiEはその独自の価値観を世の中に広めて、次世代のSNSとしてマーケットを切り開いていきたいと思っています。
(おわり)
→前編はこちら「ソーシャルネットワークサービスの次の形を目指して〜フィナンシェCEO田中隆一氏インタビュー(前編)」
→この特集すべてを読む『ドリーム・シェアリング・サービス「FiNANCiE」の正体』
(編集:設楽悠介/竹田匡宏 写真:大津賀新也)