今回の特集で佐藤航陽氏にロングインタビューさせていただいて、編集部としてもこれから「あらたしい経済」を進めていく上で、とても勉強になりさらに大事な方向性への道しるべをいただけたように感じています。
「EXA」プロジェクト自体も非常に魅力的ですが、そのプロジェクトの発想や設計の細部に、私たちがあたらしいビジネスで経済を切り開く上での大きなヒントが隠れているように感じました。
また佐藤さんが捉えているブロックチェーンについての考え方や、未来予測からも学べることが多かったです。
そしていささか過剰な表現かもしれませんが、取材を通して佐藤航陽という人間は、まさに未来から来た「人類2.0」なのではないかとさえ思いました。そんな佐藤さんが、どのように現在の先進的な発想が出来るのだろうか? その疑問が溢れ出し、ブロックチェーンとは関係ないですが、最後に佐藤さんに一つの質問を投げかけてみました。特集のエクストラとして、お読みいただければ幸いです。
これからも編集部としては「EXA」プロジェクトの進捗や、今後の佐藤さんの活動を追っていきたいと強く願っています。
佐藤さんは自分をどんな人間だと自己分析されているのでしょうか?
先日AmebaTV「徹の部屋」に出演させていただいた時に幻冬舎の見城社長に言われたことがすごい本質だと思っています。そのとき見城社長に「君は自意識のバランスが取れているね、もしくは自意識がないね」と言われたのです。実は後者が正解です、私は自意識がないのです。
正確に言うと、昔はあったのですけど途中で失った感じですね。
昔は自意識の強い方の人間で、例えばお金を稼ぎたい成功したいというような欲は強かったと思っています。
ただ起業して次第に会社でグローバル展開をしていく過程で「なんだ、地球ってそんなに大きくないんだ」というふうに感じたのです。
世界に拠点を8箇所くらい作りましたが、正直どの国も、都市も似ているように感じました。地球が大きくてイメージ出来ないものから、頭の中でイメージ出来るものになったのです。この国にこれがあって、これくらいの規模で、様々な国家同士がどんなバランスで動いているのかというのが分かるようになりました。
みなさんも日本だと全体をイメージ出来ると思います。博多に何があって、京都に何があって、という風に。これと同じように私は地球に関しても思い浮かべられるようになった。
だからこれ以上他の国に行ったところで特に面白いことないし、感動がないな、と気付いた時に残念な気持ちになったのです。そこから空間的な広がりではなく、過去未来などの時間的な広がりに興味が向かうようになりました。それと同時に現在の世界でどんなポジションを取るかといった自意識が無くなっていきました。そして今はその地球の向こう側の方に意識が向いています。
感覚的に表現すると、今の私は半分半分のような感じです。半分は現実世界に足を突っ込んでいて、もう半分は宇宙や時間の正体などのより大きなもの、世界線の先に足を突っ込んでいるイメージです。
例えるなら、転校することが決まっている生徒みたいな感じですよ。3ヶ月後に転校することが決まった生徒が、ぼんやりとクラスの仲間を俯瞰している感じです。今いる学校(地球)も楽しいかもしれないけど、転校先(地球の外)はもっと面白いかもしれない。そうなると他の人よりも、自分のことや周りのことが気にならないですよね。自意識はあるが、その場所には半分しかいない感じですかね。
今私が気になるのは次の転校先(この世界の外側)です。何があって、誰がいて、どんな学校なのだろうと常に考えています。
未開の地に行くことが自分のモチベーションです。
もしかしたら自分の考えていたことが全くの勘違いだったと証明される日が来るかもしれません。物質より情報が本質だった、宇宙そのものを作れてしまった、天井だと思っていたものが実は地面だった、あと時間は移動が出来てしまったとか、というようなことが分かるかもしれない。そういう瞬間が楽しいです。
だから今回も、みんなは馬鹿馬鹿しいと言うかもしれませんが、「EXA」プロジェクトで地球がもう一つ作れるかという仮説にチャンレンジしています。
(おわり)
これまでの 佐藤航陽「地球2.0」記事はこちら
→第1回「お金や経済は作る対象に変わったが、「地球」は作れるか? 仮想地球『EXA』のチャレンジとは」
→第2回「サトシ・ナカモトは私が生まれて初めて嫉妬した人間」
(編集 設楽悠介・竹田匡宏)