暗号資産(仮想通貨)の損益計算を行う3つの方法

特集 暗号資産の税金と確定申告

暗号資産の損益計算を行う3つの方法

暗号資産取引の確定申告を行う過程で、最も手間がかかり、苦手意識をもたれることが多いのが損益計算のプロセスです。確定申告を行うためには1年間の取引で発生した損益額を正確に算出する必要があるのですが、取引状況によっては計算が複雑になるため、時間や手間がかかるケースも少なくありません。

今回は、暗号資産の確定申告を行う上で最も重要な損益計算のやり方について、基本的な考え方とともに3つの方法について解説していきます。

暗号資産の損益計算はなぜ難しいのか?

取引データの収集から損益の計算までを投資家自身で行う必要がある

暗号資産取引を行う投資家の多くは、複数の取引所にまたがって通貨の移動・売買を行っています。暗号資産の移動を繰り返すと、取引所側では投資家が損益計算を行うにあたって必要な原価の情報を把握できないため、損益額を算出することができません。

そのため、複数の取引所を利用している場合、基本的には投資家自身がすべての取引データを集約し、損益額を計算する必要があります。

損益計算の基本的な考え方としては、暗号資産の売却価格(時価)から取得価格を引いて損益額を算出します。

【暗号資産の売却時の計算】

[暗号資産の売却価格(時価)]ー[取得価格(平均取得単価×売却数量)]=[損益額]

暗号資産取引では複数の取引所で様々な取引を行うため計算が複雑になる

例えば、100万円で購入したビットコインを120万円で売却すると利益は20万円となります。この例のように通貨の購入と売却が1回ずつの場合は計算がシンプルですが、多くの場合暗号資産を複数回購入したり、売買だけでなくレンディングやマイニング、ステーキング等といった様々な取引を行っているかと思います。

様々な取引を複数回行うと原価の計算が複雑になるため、正しい知識を持っていないと適切に計算を行うことができません。また、この計算をエクセルなどの表計算ソフトで行おうとすると、税理士のような専門家でも多大な時間がかかってしまいます。

平均取得単価の計算方法は2種類ある

損益計算の基本的な考え方と、それが難しくなる理由をおさえたところで、暗号資産の損益計算を行う際に使用する「移動平均法」と「総平均法」について簡単に解説していきます。

「移動平均法」と「総平均法」は暗号資産を1枚あたりいくらで取得したかという単価を計算するための方法で、確定申告を行う際にはどちらかの計算方法を選択して届け出を行う必要があります。(※1)

移動平均法

移動平均法は、暗号資産を購入する都度、単価を計算する方法です。投資家の肌感覚と近い計算結果になりやすい一方、購入回数が多くなるほど計算が複雑化する特徴があります。

総平均法

総平均法は、年度内における全ての購入金額を購入数量で割って平均取得単価を計算する方法です。一度の計算で完結できるメリットがあるものの、市場の流れ次第では肌感覚と大きく乖離した計算結果となる場合があります。

※1 届け出を行わない場合、原則的な計算方法である総平均法を選択したものとみなされます。また、いずれの計算方法を選択した場合においても、原則として3年は継続適用することが求められます。

損益計算を簡単かつ正確に行うことができる3つの方法

暗号資産の損益計算は複雑になりやすいため、その対応に不安を抱いている方も多いかと思います。

そんな方のために、それぞれの取引に関する計算ロジックを完璧に理解していなくても損益計算を簡単かつ正確に行える3つの方法を紹介していきます。

①国税庁が公表している計算書を利用する(無料)

国税庁が公表している暗号資産の計算書は予め関数が組まれたエクセルファイルです。ガイドに従って取引の情報を入力すると損益額を算出することができます。

ただし、複数の取引所での取引を行っている場合や、マイニングやステーキングといった複雑な取引をしていると計算が困難または不可能となるケースもあるため、複雑な取引を行っていないライトな投資家向けの選択肢です。

また、移動平均法と総平均法によって記入するシートが異なるため、計算には時間がかかる点にも注意が必要です。

②損益計算ツールを活用する(無料~数万円)

移動平均法と総平均法どちらの計算方法にも対応しており、自動で損益額を算出してくれるため、専門的な知識は必要ありません。年間の取引件数がかなり多い場合でも簡単に計算できるため、ライトな投資家から専業のトレーダーまで幅広い層が利用しています。

画像はGtaxの計算画面。専門的な知識がなくても確定申告の際に必要な損益計算を簡単に行うことができる

③税理士に依頼する(10万円~)

取引が複雑すぎて自分では計算を行えない場合や、費用をかけてでも手間や時間を節約したい場合は税理士に依頼する方法もあります。

税理士へ依頼すれば、暗号資産の損益計算から確定申告の作成・提出まで全ておまかせできます。また、万が一確定申告後に税務調査が入ったとしても、確定申告を依頼した税理士に頼れるため心配は要りません。(※2)

しかし、暗号資産税務に詳しい税理士は全国的にもまだまだ少ない点や、取引状況によっては高額の(例えば50万円以上の)の費用がかかるケースもありますので注意が必要です。

※2 他の方法を選択した場合でも、税務調査時に税理士に税務調査対応を依頼することは可能です。

Excelなどを活用した自己流での計算は推奨できない

Excelなどの表計算ソフトで自分で計算を行い確定申告を行う方も一定数いますが、正しい知識を持たないで自己流で計算を行うことは推奨できません。税理士等の専門家のほとんども、損益計算ツールを利用する等して計算しているのが実情です。

また、暗号資産の損益計算では年末時点で保有している平均取得単価(通貨1枚あたりいくらで取得したかという情報)は翌年の計算に引き継がれるため、翌年以降の計算結果に影響します。一度計算を誤るとその年度だけでなく、翌年以降の計算結果まで誤ったものになる可能性がある点に留意が必要です。

そのため、基本的には上記で紹介した3つの方法で計算を行うことをおすすめします。

暗号資産の損益計算はお早めに

今回説明してきたように、暗号資産の損益計算ではロジック自体は複雑ですが、Gtaxのような損益計算ツールを活用することで効率的に行うことが可能です。しかし、多くの取引所を利用している場合など、計算に必要な取引データの収集にある程度の時間がかかる場合もありますので、損益計算は時間に余裕を持って行いましょう。

(つづく)

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寄稿

この記事は株式会社Aerial Partners(エアリアル・パートナーズ)の寄稿記事です。暗号資産(仮想通貨)の損益計算ツール「Gtax」はこちらから↓

面談な仮想通貨の損益計算ツール【Gtax(ジータックス)】

image/iStock:Photoplotnikov・kazuma-seki

この記事の著者・インタビューイ

Aerial Partners

設立2016年12月。ブロックチェーン企業の経営管理体制・経理財務フローの効率化を後押しするサービス『Aerial Data Management』の提供や、個人投資家向けの仮想通貨の確定申告をサポートする『Gtax』『Guardian』の提供、その他ファイナンシャルサポートを行う企業。