ブロックタイムを変更する、EIP-8931を解説
10月5日に、イーサリアム(Ethereum)のブロックタイムを現在の12秒から8秒に減らすというEIP(イーサリアム改善提案)が提出され、各所で話題になっています。
イーサリアムのブロックタイムが8秒になると、結果的にイーサリアム全体の安定度が増すとされています。今回はこの提案について、なぜネットワークが安定するのかについて簡単に解説してみようと思います。
EIP-8931に割り当てられたこの提案の狙いは、「ピーク帯域要件の低減」です。
そう聞いただけではよくわからないと思います。噛み砕いていうと「イーサリアムネットワークが一番忙しいタイミングをもう少し軽減する」という意味です。
イーサリアムにおいて一番忙しいタイミングは、ブロックの伝搬時です。イーサリアムでブロックを作るときは、一定時間ごとに「ブロック組み立て担当」に割り当てられたバリデーターがブロックを作り、できたものを伝搬し他のバリデーターが検証するというフローになっています。
このブロックの伝搬のタイミングで大規模な通信が必要になります。
この時に通信帯域への負担が大きくなりすぎると、ネットワーク自体に遅延が発生したり、フォークが頻発してしまう可能性があります。
今回の提案は、ブロックの容量を増やさずにブロックタイムを短くする内容です。それによりこれまでより多くのブロックが生成されることになるため、当然1ブロックあたりのトランザクション数が減ります。そして伝搬に必要な通信量が結果的に減り、イーサリアムのネットワーク効率化につながると考えられています。
それだけでなく、ブロックの数が増えることでより多くのトランザクションを処理することを可能にすることも達成しています。処理能力を向上させながらも瞬間的な帯域要件の低減を実現する提案といえます。
しかし、ブロックタイムが早まる分、ノードが行う計算の量は増すため、イーサリアムのノードを建てるためのハードウェア要件が少し高くなる可能性があります。このあたりは現在議論されている部分です。
まとめると、ブロックタイムを短くすることはイーサリアム自体を安定化させるための施策として良い方法といえますが、ノードを立てるための条件が厳しくなるかもしれない、と言うところですね。
ブロックチェーンそのものの安定をとるか、ノード要件を低く収めて分散性をとるか、どちらが選択されるか、今回の提案が今後のアップグレードに採用されていくかは、要チェックですね。
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