ユニスワップ「Unichain」の「Flashblocks」とは?

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手塚康夫

「Flashblocks」とは?

10月10日に公開されたUniswapのイーサリアムL2チェーン「Unichain」には、様々な機能が盛り込まれていることが話題になっています。今回はその中でも興味深い「Flashblocks」という機能について解説します。

「Flashblocks」によって、「ブロックタイムより早くトランザクションの実行を確定できる」という、今までのブロックチェーンでは実現できなかった動作が可能になります。

まずは、「Unichain」について簡単に解説していきます。前回の記事でも一般的なことについては解説しているので、是非合わせてチェックしてみてください。

「Unichain」は、ご存じ超大手DEX(分散型取引所)であるUniswapの開発会社Uniswap Labsによって発表された、イーサリアムを基盤とする新たなL2ブロックチェーンです。

「Unichain」はOP Stackを利用して作成されており、自身の機能もまたOP Stack自体に組み込まれ、他のL2チェーンからも使用することができるようになるようです。

「Unichain」は、L2エコシステムのDeFiにまつわる諸問題(実行品質、UX、流動性の断片化)に対処することを目的としています。

これらのうちUXに関しての問題を、今回の本題である「Flashblocks」という仕組みが解決しています。

ここにおけるUXとは、いわゆるトランザクションの実行にかかる時間のことを指しています。この時間を決める大きな要因はブロックが生成される間隔のブロックタイムです。ビットコインなら10分、イーサリアムなら12秒、Optimismなら2秒ですね。

そして「Unichain」のブロックタイムは1秒です。この時点で、既に結構早いほうではあるのですが……。

今までは、トランザクションが完了する速度はブロックタイムとほぼ同一でした。しかし「Unichain」では、ブロックタイムよりかなり短い0.25秒でトランザクションが完了するようなUXになっているのです。

ブロックタイムよりもトランザクションの完了が早い、とはどういうことでしょうか? その仕組みをざっくりですが解説します。

実は特に複雑なものではなく、「Unichain」の1秒のブロックタイムを4つに分け、0.25秒ごとに「トランザクションを次のブロックに入れるか否かを事前に確定させる」ことによって、ユーザー目線ではトランザクションが0.25秒で実行、完了されているように見える、といった仕組みです。

これを、イーサリアムの開発者は「事前承認(preconfirmation)」と呼んでいます。これにより、「ブロック生成速度よりも早くトランザクションを確定させる」ことができるようになります。

そのため高いユーザー体験を維持した独自のレイヤー2を構築できると言われています。

「Unichain」は現在テストネットが稼働しており、そのUXを体験できます。また11月にはメインネットが公開予定です。公開が待ち遠しいですね。

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この記事の著者・インタビューイ

手塚康夫

株式会社クリプトリエ 代表取締役 CEO 2006年に株式会社ジェナを設立、2021年の株式会社マネーフォワードによるM&A後に同社を退任。現在は2023年に設立した法人向けにweb3ビジネスを展開する株式会社クリプトリエの代表取締役の他、複数のスタートアップの役員や顧問を務める。株式会社クリプトリエでは、NFTのビジネス活用を簡単かつ迅速に実現するプロダクト「MintMonster」を提供し、企業におけるWeb3活用の普及を目指す。

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