friend[.]tech開発チームの管理権放棄、その理由は?

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手塚康夫

friendtech開発チームの管理権放棄、その理由は?

friend.tech(フレンドテック)のスマートコントラクトの権限が、誰もアクセスすることができない「nullアドレス」に移されたことで、新機能の実装が今後期待できなくなりました。

今回はfriend.techについておさらいした後、現状についてもまとめていきます。

friend.techはBaseブロックチェーン上に構築されたSocialFiアプリケーションです。Baseは大手暗号資産取引所のCoinbaseが開発・運営するブロックチェーンとして登場し、すぐに注目を集めました。このBaseの火付け役となったのがfriend.techでした。

friend.techの仕組みはシンプル。ユーザーが自身のソーシャルネットワークをトークン化して販売できるプロトコルで、トークンを購入することで発信者とメッセージをやり取りできるというものでした。

その結果、エアドロップへの期待もあり多くのインフルエンサーがトークンを販売し大きなムーブメントを生みました。

また第1回のエアドロップへの期待により、プロトコルの手数料収入は一時的に全Dappsで1位を記録したこともありました。しかしこのエアドロップが終了してから、エアドロップに期待するユーザーが利用しなくなり、アプリのユーザーが減少したことで手数料収入も激減しました。

そんな現状を変えるためか、先日に共同創業者のレイサー(Racer)氏が同アプリを独自ブロックチェーンに移行する考えを明らかにしました。その後正式に独自ブロックチェーン「Friendchain」の構築が発表されました。しかしこれを受けてトークンの価格が下落し、計画は断念され現在もそのままです。

今回の事件は、そんな中で突然friend.techの運営がプロトコルのスマートコントラクトの管理権限と所有権を放棄したというものです。これはプロトコルへ追加機能を実装するなどの更新が、実質不可能になったということを意味しています。また手数料収入の受け取りも放棄したと発表されており、ユーザーが困惑しているという現状です。

なおアプリのフロントは稼働を続けており、今のところ今後も機能し続けると発表されています。アプリが使用不可になるわけではありません。

多くの報道機関等はこの一連の事象について、手数料収益の低下の影響でプロトコルを維持することが困難になったためではないかと分析しています。

実質閉鎖を思わせる状態になったfriend.techですが、まだ詳細が発表されているわけではないので、今後の情報も目が離せません。

また、このようなエアドロップがプロトコルにもたらす悪影響に関する話題を、最近よく目にします。実際エアドロップを実施した後に、ユーザーが減少したことでプロトコルを閉鎖した例も増えており、今後も注目の課題だと考えられます。

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手塚康夫

株式会社クリプトリエ 代表取締役 CEO 2006年に株式会社ジェナを設立、2021年の株式会社マネーフォワードによるM&A後に同社を退任。現在は2023年に設立した法人向けにweb3ビジネスを展開する株式会社クリプトリエの代表取締役の他、複数のスタートアップの役員や顧問を務める。株式会社クリプトリエでは、NFTのビジネス活用を簡単かつ迅速に実現するプロダクト「MintMonster」を提供し、企業におけるWeb3活用の普及を目指す。

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