EigenLayer(アイゲンレイヤー)とは? リステーキングとセキュリティ貸し出しサービス

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手塚康夫

EigenLayer(アイゲンレイヤー)とは?

今回は、日本国内でもかなり知名度が上がってきた「EigenLayer」の仕組みについてまとめていこうと思います。様々な人がリステーキングに参加し、Kudasaiなど国内からノードとして参加するグループも現れていますが、なぜこんなにも注目されているのでしょうか?

Eigenlayerがどんなプロダクトなのかを一言で言うと、「新しいネットワーク向けのセキュリティ貸し出しサービス」です。

このままだとあまりイメージができないと思います。ここからはセキュリティについておさらいしながら詳しく見ていきましょう。

まず初めにPoSブロックチェーンにおけるセキュリティとは何かという話をします。

それは「Stakeされたトークンの価値総量」です。なぜならPoSチェーンではステーキングされたトークンを担保にしてバリデータになり、不正をすればトークンを失う仕組みを採用しているからです。

そのためステーキングされているトークンが多いことはブロックチェーンを不正なく維持しようとするユーザーが多いことを表します。よってEthereumの場合、EthereumにステーキングされているすべてのETHを合わせた金額がセキュリティの強さといえます。

EthereumはステーキングされているETHはかなり多く、セキュリティが高いと言えますが、新しいチェーンや分散型ネットワークの場合はどうでしょうか?

実際、新しいチェーンや分散型ネットワークはステーキング量やマイナーが少ないため、十分なセキュリティが用意できないことが多いです。

PoSブロックチェーンにおいてはステーキング量が少ない場合、攻撃者はトークンを失うことを覚悟してネットワークに参加し、不正に対応するバリデータを資金量で上回ることが容易になります。そうなればネットワークに不正を押し付けることが可能になります。

Eigenlayerはこれを解決し、新しいチェーンや分散型ネットワークの立ち上げを低コストでできるようにするプロダクトです。

Ethereum以外のブロックチェーンでは、これを解決しようとするプロジェクトが以前から存在していました。ここでいくつか紹介してみます。

最も古いのはPolkadotでしょう。Polkadotは、Relaychainのインターオペラビリティだけでなく、RelaychainへのステーキングによるセキュリティをParachainが享受できるという点で注目を集めました。ここでの重要な考え方は、Astarを含むすべてのParachainは、Relaychainのセキュリティを借りている、というところです。

またCosmosにも似たような仕組みがあり、Cosmos上の新興チェーンはCosmos Hubのバリデータにブロック生成を行ってもらうことによってセキュリティを借りられます。

これらのブロックチェーンが行っていることをEthereumを基盤に実現しようとしているのがEigenlayerです。Ethereumは知っての通り、他のブロックチェーンよりも圧倒的にステーキング総額が高いです。したがって貸し出せるセキュリティも比較的強いものになります。

ここからはEigenlayerの本格的な説明に移ります。

Eigenlayeに参加する方法は以下の3種類あります。

・AVS(セキュリティを借りたいチェーンやネットワーク)
・オペレーター(AVSのブロック生成等の計算を行うノード)
・リステーカー(AVSに対してリステ―キングを行う人々)

リステーキングとは、一度ステーキングされたものを、もう一度別の何かにステーキングする行為を指します。

Eigenlayerの場合、一般的にEthereumのリキッドステーキングサービスにステーキングした際に得られるLSTを、さらに別のAVSに対してステーキングします。

このリステーキングを通じて、オペレーターはEthereumと同時にAVSのブロック生成も行います。この時オペレーターはEthereumの資産を失う条件に追加してAVSでも同様に資産を失う条件も背負います。こうしてAVSでのリスクも負うことによってAVSのセキュリティが担保されます。

これがEigenlayerの仕組みです。

現在、AVSはEigenlayerの公式が出しているEigenDAのみで、つい先日メインネットをローンチしたばかりです。これはCelestia等と同じDAレイヤー関連のプロジェクトです。またほかにもAVSとして調達を行ったプロジェクトがあるようです。

これまでも何度も話題になっていましたが、これまではただのリステーキングプラットフォームでした。正式にサービスが開始され今後も更に注目が集まっていくでしょう。オペレーターとしてGoogle CloudとCoinbaseの参入が発表されたこともそれを後押しするでしょう。

https://twitter.com/CoinbaseDev/status/1777825119290745241

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手塚康夫

株式会社クリプトリエ 代表取締役 CEO 2006年に株式会社ジェナを設立、2021年の株式会社マネーフォワードによるM&A後に同社を退任。現在は2023年に設立した法人向けにweb3ビジネスを展開する株式会社クリプトリエの代表取締役の他、複数のスタートアップの役員や顧問を務める。株式会社クリプトリエでは、NFTのビジネス活用を簡単かつ迅速に実現するプロダクト「MintMonster」を提供し、企業におけるWeb3活用の普及を目指す。

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