ビットコインとライセンス、サトシが「GPL」ではなく「MIT」を使った理由

小宮自由

サトシが「GPL」ではなく「MIT」を使った理由

ビットコインを発明し、未だその正体が分かっていないサトシ・ナカモト。そんなサトシが残した約2年間の文章を、小宮自由氏の解説と共に紹介する連載「サトシ・ナカモトが残した言葉〜ビットコインの歴史をたどる旅」の第36回。

まずサトシのメールの前に、本連載の元になっている書籍『ビットコイン バイブル:サトシナカモトとは何者か?』の著者フィル・シャンパーニュ氏の解説も掲載する。

フィル・シャンパーニュ氏の解説

「当店ではビットコインの支払を受け入れます」のロゴを作る提案はGPLライセンスだった。ここでサトシは、MITライセンスの方がいいと述べている。これはビットコインソフトウェアで使われているのと同じオープンソースライセンスである。

サトシ・ナカモト 2010年02月24日 午後09時53分52秒

それではサトシの投稿をみていこう。

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Re:「当店ではビットコインの支払を受け入れます」のロゴを作る

あなたがGPLライセンスなら、私としてはGPLの利用は避けないといけないです。GPL自体に反対なのではなく、ビットコインはMITライセンスのプロジェクトなのです。GPLのものにはその旨を明記して下さい。

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解説

ビットコインに関係するプロダクトには、GPLはなるべく使いたくないとサトシは述べています。これはいわゆるライセンス感染を避ける為の措置でしょう。

ビットコインのライセンスはMITであるため、派生物のソースコードは非公開にできます(GPLであれば公開しなければなりません)。これにより、例えば暗号資産取引所が独自のビットコインウォレットを制作したとしても、ソースコードを公開する必要はありません。また、派生物の著作権も保有できるし、特許申請もできます(GPLだと著作権は制限され、特許申請もできません)。MITライセンスであるため、特に事業者にとってビットコインビジネスに参入しやすくなっています。

小宮自由

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小宮自由

東京工業大学でコンピュータサイエンスを学び、東京大学ロースクールで法律を学ぶ。幾つかの職を経た後に渡欧し、オランダのIT企業でエンジニアとして従事する。その後東京に戻り、リクルートホールディングスでAI(自然言語処理)のソフトウェア作成業務に携わり、シリコンバレーと東京を行き来しながら働く。この時共著者として提出した論文『A Lightweight Front-end Tool for Interactive Entity Population』と『Koko: a system for scalable semantic querying of text』はそれぞれICML(International Conference on Machine Learning)とACM(Association for Computing Machinery)という世界トップの国際会議会議に採択される。その後、ブロックチェーン業界に参入。数年間ブロックチェーンに関する知見を深める。現在は BlendAI という企業の代表としてAIキャラクター「デルタもん」を発表するなど、AIに関係した事業を行っている。
https://blendai.jp/
https://twitter.com/blendaijp
https://twitter.com/BorderlessJpn
https://twitter.com/BorderlessDAO

東京工業大学でコンピュータサイエンスを学び、東京大学ロースクールで法律を学ぶ。幾つかの職を経た後に渡欧し、オランダのIT企業でエンジニアとして従事する。その後東京に戻り、リクルートホールディングスでAI(自然言語処理)のソフトウェア作成業務に携わり、シリコンバレーと東京を行き来しながら働く。この時共著者として提出した論文『A Lightweight Front-end Tool for Interactive Entity Population』と『Koko: a system for scalable semantic querying of text』はそれぞれICML(International Conference on Machine Learning)とACM(Association for Computing Machinery)という世界トップの国際会議会議に採択される。その後、ブロックチェーン業界に参入。数年間ブロックチェーンに関する知見を深める。現在は BlendAI という企業の代表としてAIキャラクター「デルタもん」を発表するなど、AIに関係した事業を行っている。
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