11/26~12/2週のサマリー
- タカ派で知られるFRB高官の相次ぐハト派寄り発言で、米金利低下とともに暗号資産を含むリスク性資産が上昇
- VPNを利用した米国内でのBybit社サービスの提供を巡り、Coinbase社に情報開示の召喚状
- パウエルFRB議長の発言により、利上げサイクルの終了が更に意識され、BTCは40,000ドル目前
暗号資産市場概況
11/26~12/2週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+2.70%の5,808,500円、ETH/JPYの週足終値は同+2.12%の318,350円であった(※終値は12/2の当社現物EOD[12/3 6:59:59]レートMid値)。
週初の暗号資産市場は、資産運用大手Ark InvestによるGBTCやCoinbase(COIN)株式の売却もあり、やや上値の重い展開が続いた。
米国時間28日、タカ派で知られるウォラーFRB理事が「インフレ率を2%に戻す過程で現在の政策は好位置にある」「インフレ率が低下に向かっている確信が持てれば、利下げを開始することもできる」などと近い将来の利下げ可能性を示唆したほか、同じくタカ派で知られるボウマンFRB理事も12月FOMC(12~13日)での政策金利据え置き支持を示唆すると、短期ゾーンを中心に米国金利が低下。BTCは週初とは一転して1,000ドル幅の上昇となった。
その後は、VPNを利用した米国内でのBybit社プラットフォームへのアクセスを巡り、Coinbase社がアカウント情報開示に関する召喚状を米商品先物取引委員会(CFTC)から受け取ったと伝わり、やや下押す場面が見られたが、大きな下落には至らず年初来高値圏での推移が続いた。
米国時間1日には、パウエルFRB議長が「行き過ぎた利上げのリスクと十分ではない利上げのリスクがより均衡している」と発言し、市場ではハト派気味に受け取られたことでBTCは39,000ドル目前まで上昇。
暫くの揉み合いを経て3日未明、10月下旬から続いていた保ち合いをブレイクアウトすると39,700ドル台まで更なる上昇を見せた。
今週は、BTCが40,000ドルのトライに成功し、年末にかけて上昇基調を継続できるかに注目だ。また、先週のFRB高官発言を受けて24年3月FOMCでの利下げ開始が50%超織り込まれてきていることから、米11月雇用統計(12月8日夜22時30分発表)前後でのボラティリティ急上昇にも注意したい。同様に、規制当局の動きがみられたBybit関連のヘッドラインも市場に影響を与えうるため注視する必要がありそうだ。
BTC/USD週間チャート(30分足)
BTC/JPY週間チャート(30分足)
11/26~12/2週の主な予定
12/3~12/9週の主な出来事
今週のひとこと「Cosmos Hub / ATOM」
今週のマーケットトピックとして11月26日、Cosmos Hubのネイティブトークンである「ATOM」のインフレ率を抑制する提案がコミュニティ投票で承認されました。
Cosmosプロジェクトは、異なるブロックチェーン同士が相互作用する「Internet of Blockchains 」という世界を構築することをコンセプトとしており、Cosmos Hubとは「ATOM」をネイティブトークンとしたCosmosネットワークで中心的な役割を果たすブロックチェーンのことです。Cosmos HubはDPoS(Delegated Proof of Stake)というコンセンサスアルゴリズムの採用を特徴としており、誰でもバリデータになれる通常のPoSとは異なり、デリゲート数量に応じたバリデータ数の制限を設けています。
冒頭のコミュニティ承認によってインフレ率が引き下げられたことにより、「ATOM」のステーキング年率は5%超引き下げられ約13%となります。インフレ率が低下すると市場に供給されるトークン量も減少するため、一般にはインフレ率が低い、若しくはデフレである方が価格にはポジティブに作用します。しかし、インフレ率が直接的に価格に影響するわけではなく、トークン価値の上昇には需要が不可欠であるため、今後もCosmosネットワーク全体の動向と活動量には注目する必要があります。
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