ロナウド氏が集団訴訟に直面
サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo dos Santos Aveiro)氏が、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)と提携し未登録証券を宣伝したとして集団訴訟を受けている。フロリダ州南部地区連邦地方裁判所に提出された11月27日付けの訴状にて明らかとなった。
訴状によれば、ロナウド氏がバイナンスの「持続的かつ積極的な」宣伝キャンペーンを行ったとし、この行為が「欺瞞的で違法」であったと主張。
原告団は、ロナウド氏が宣伝行為と引き換えに「バイナンスのプラットフォームを通じてデジタル資産という形での報酬を含むと思われる多額の報酬」を受け取ったと述べている。
また原告団は、ロナウド氏がプロモーションを行った当時、暗号資産取引プラットフォームへの投資を促進する法的リスクは十分に知られていたのだから、「(ロナウド氏は)バイナンスが未登録の暗号証券を販売していることや、潜在的なリスクを知っていたか、そうでなければ知るべきであった」と指摘。
故意であれ無意識であれ、ロナウド氏が抱える「数百万人のフォロワー、ファン、サポーターにバイナンスのプラットフォームで投資するよう促すことで、未登録証券への投資を勧誘」し、バイナンスの詐欺行為を幇助し、損失を被らせたと原告団は主張している。
バイナンスとロナウド氏は2022年6月に、複数年にわたる独占的なパートナーシップ契約を締結した。その際にロナウド氏のファンに対しNFTに関するグローバルプロモーションを開始するとして、NFTマーケットプレイス「バイナンスNFT」でNFTコレクションを展開することを発表。同NFTは2022年11月にローンチされた。
なおバイナンスは、ブラジルサッカー連盟、イタリアのサッカーチーム「ラツィオ」やポルトガルの「FCポルト」などのクラブと提携している。
バイナンス前CEOのCZ氏は11月22日、バイナンスが効果的なマネーロンダリング防止プログラムを保てない原因を故意に作ったとして有罪を認めた後、11月23日にバイナンスのCEOを辞任した。
バイナンスは米国当局との和解のため、合計で約43億ドル(約6,370.3億円)の罰金を支払うことに合意している。
なおバイナンスが和解へ向け動いているのは、米司法省(DOJ)、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、外国資産管理局(OFAC)、米商品先物取引委員会(CFTC)であり、米証券取引委員会(SEC)は含まれていない。
SECがバイナンスとCZ氏に対し6月5日に起こした提訴は、現在も係争中だ。
SECは、バイナンスが取引量を人為的に膨らませ、顧客の資金を流用した他、米国の顧客が国外の交換所で取引できるようにし、市場規制について投資家に誤解を与えたなどと指摘。ワシントンDCの連邦裁判所に提出された訴状には、バイナンスとCZ氏、同社の米交換所運営会社に対する13の容疑が記載されていた。
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参考:裁判資料
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